日本大百科全書(ニッポニカ) 「オデイ」の意味・わかりやすい解説
オデイ
おでい
Anita O'Day
(1919―2006)
アメリカのジャズ歌手。イリノイ州シカゴ生まれ。10代のころはダンスがうまく、後年に大歌手となるフランキー・レインFrankie Laine(1913―2007)とコンビを組み、長時間踊り続ける「ダンシング・マラソン・コンテスト」にかならず参加していた。1939年シカゴのマックス・ミラー楽団で歌手生活に入る。41年ジーン・クルーパ楽団に参加、トランペット奏者のロイ・エルドリッジRoy Eldridge(1911―89)と掛け合いで歌ったレコード『レット・ミー・オフ・アップタウン』がヒット。44年スタン・ケントン楽団に移ったのち、45年ふたたびクルーパ楽団に戻って46年に独立。病気など苦難の時期を経て、50年から名プロデューサーとして知られるノーマン・グランツNorman Granz(1918―2001)のレコード会社で、『ジス・イズ・アニタ』(1955)、『アニタ・シングズ・ザ・モスト』(1957)、『アニタ・オデイ・シングズ・ザ・ウィナーズ』(1958)など名唱盤を次々と発表。58年にニューポート・ジャズ祭に出演、その記録映画『真夏の夜のジャズ』で人気を高めた。ハスキーな声を活用した、強いスウィング感のある技巧的な歌唱で多くの後輩に影響を及ぼし、晩年まで公演と録音を行った。
[青木 啓]
『FM東京セレクト・ジャズ・ワークショップ制作グループ・日本たばこ産業アド企画室編『名演!Jazz Standards』(1989・講談社)』▽『Anita O'Day, George EellsHigh Times, Hard Times(1988, Limelight Editions)』