改訂新版 世界大百科事典 「オニネズミ」の意味・わかりやすい解説
オニネズミ
greater bandicoot-rat
Bandicota indica
腰に長毛を密生し,みのを着たように見える巨大な齧歯(げつし)目ネズミ科の哺乳類。台湾,中国南部,インドシナ,スマトラ,ジャワ,インド,スリランカに分布。体長16~36cm,尾長14~26cm,体重680~1130g。体はがんじょうで吻(ふん)が太く,耳介は短くまるい。尾は体より短く,ほとんど無毛。体毛は軟らかく灰褐色~黒褐色,腰に淡褐色の短い剛毛と,黒褐色の長毛(7~10cm)を混生する。体の下面は淡褐色。川に近い草原や耕作地に穴を掘って単独ですみ,昼は穴に潜み,夜出て,野菜,穀類,球根,果実などを食べ,一部を穴の中の貯蔵室に蓄える。1腹10~12子,ほとんど年中繁殖し,しばしば農作物に大害を及ぼす。台湾のは1630年ごろオランダ人が移入したものといわれる。地方によって,原住民はとらえて肉を食い,穴の中に蓄えられた穀類などを利用する。インドからジャワまで分布するやや小型のベンガルオニネズミ(コオニネズミ)B.bengalensisは,森林に生息し,畑にはすまない。
執筆者:今泉 吉典
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報