オバマケア(読み)おばまけあ(英語表記)ObamaCare

日本大百科全書(ニッポニカ) 「オバマケア」の意味・わかりやすい解説

オバマケア
おばまけあ
ObamaCare

アメリカのオバマ政権が推進する医療保険制度改革の通称で、2010年3月に議会で成立した公的保険制度。自由主義の国であるアメリカでは、連邦政府や州政府による保険制度はなく、多くの民間企業が会員向けの保険制度を運用している。そのため、中間層以上の国民は民間の医療保険に加入し、高度医療を受けることができるが、保険料を負担できない貧困層を中心に無保険者が増大している。その解決手段として、国民皆保険を目ざすオバマケア法案が成立した。オバマケアでは、政府の補助がついた新型の医療保険を導入し、これまで無保険だった貧困層を含む全国民の加入を義務づける。これに伴い、全額自己負担の個人加入保険を廃止し、これまで全額自己負担の保険に加入していた人も新型医療保険に強制加入させる。制度には罰則規定があり、2014年4月1日までに保険に加入していない場合は追徴課税がある。

 しかしオバマケアによる支出は今後10年間で約1.1兆ドルにのぼることなどから、保守派の市民運動であるティーパーティー反発や野党共和党議員の強硬な反対が続いている。さらに2013年10月からスタートした新型保険へのオンラインでの加入申込みは、システムの不具合により契約数が伸び悩んでおり、大統領は11月、オバマケアの基準に満たない保険契約でも契約者が希望する場合、1年間の再契約ができるという措置を柱とする修正案を発表した。しかしさらなる反対や混乱が続いた場合、強制移行期限の延長も含めた変更が行われる可能性もある。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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