翻訳|anamnesis
過去にかかったことのある病気や外傷などのこと。医師は初診の際,これを病人(または付添い)から主訴,現病歴とともにききとりカルテに記入する。この場合,医師は単なる既往症名をきくにとどまらず,その時期や治療内容,さらに病人自身の出産時の状況,月経状態,出産の有無やその状態をききとり,既往歴とする。また医師は問診によって病人の嗜好品や生活環境,職業などについてもききとるが,これは,既往症を含めてこれらのことが現在の病気と関係があるかどうかを診断上考える必要があるからである。現在の病気と関係ある事例をいくつか次にあげよう。(1)出産時の状況 難産・鉗子分娩の場合には神経系の病気が起こることがある。(2)既往症 たとえば,扁桃炎にかかってから10日くらいたって急性糸球体腎炎が起こったり,抜歯後,亜急性心内膜炎が起こったり,また輸血をしたことのある人で,50日以上もたって急性肝炎が起こることがある。(3)嗜好品 酒とくにアルコール含有量の多い酒の過飲は,肝硬変や食道癌の素因をつくる。大量長期の喫煙は,肺癌,肺気腫,血管系の病気を起こしやすい。(4)職業 石炭業,木炭業の人々には炭肺が,石工,陶工には珪肺が起こりやすく,石綿繊維やそれらの製品を扱う職場の人では石綿肺や肺癌の発生頻度が高い。
執筆者:三上 理一郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
診察時に至るまでの患者の病歴をいう。疾病の診断を正確に下すため、既往症の採取は微に入り細をうがつ必要がある。患者にありのままを語らせ、医師がその要点をつかみ、現症と関係づけて焦点を絞っていく。意識障害を伴う疾病などでは、発作時の状況を語ることができないので、付添い人の言を十分に参考にする。
既往症の把握は、問診によって一定の順序に従い、遺漏なく聴取することがたいせつである。すなわち、家族歴として、祖父母、両親、兄弟姉妹についての疾病の有無、死因、また、遺伝的・体質的負荷を問う。既往症として、出生時の状況や、経過した疾病、月経、生活様式、職業、嗜好(しこう)品などを聴取するのが通例である。
[井上義朗]
出典 みんなの生命保険アドバイザー保険基礎用語集について 情報
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