オルキス(その他表記)Orchis

改訂新版 世界大百科事典 「オルキス」の意味・わかりやすい解説

オルキス
Orchis

ラン科オルキス属Orchisに属する地生ランで落葉性。北半球の温帯から亜寒帯,とくにユーラシア,北アフリカに多くの種が分化しており,北アメリカとカナリア諸島にも2種ずつが分布する。花は穂状あるいは総状の花序に多数つき,多くはピンク~紅色で美しく,欧米では観賞用に栽植されるが,肥えた土で水はけのよい条件が必要で,日本では露地ではうまく育たない。広義のオルキス属は日本のハクサンチドリウチョウランなども含み,後者ヒナチドリ花形や花色に変異が多く,山草愛好家に栽培されるが,乱採されるため多くの生育地が破壊された。

 オルキス属は地中に球状に肥大した根をもち,春その根から発芽し,茎を地上に直立させ,線状の葉を出す。秋によく肥大したこの球根を掘り取って繁殖させ,栽培する。水はけのよい土に毎年,春に植えかえて育てる。夏は風通しをよくし,木陰におくのがよい。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のオルキスの言及

【ハクサンチドリ】より

…高山帯から亜高山帯の湿性のお花畑に多くみられる紅紫色の地生ラン。ハクサンの名は石川県白山にちなむ。先端が掌状に分裂した塊根がある。花茎は高さ10~40cmで,葉を3~6枚つける。葉は倒披針形で長さ7~15cm,上部の葉は小さくなる。6~8月,紅紫色の花を密に十数花つける。花は径1cm強。萼片は開出し,唇弁は暗紅紫色の斑紋があり,3裂して先端はとがる。約15mmのやや太い距がある。本州中部以北の高山帯,北海道の道東や道北では平地の湿原や草原に生育し,さらにアラスカから日本までの太平洋側,アラスカから朝鮮の日本海側までの東アジアに分布する。…

※「オルキス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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