改訂新版 世界大百科事典 「オルキス」の意味・わかりやすい解説
オルキス
Orchis
ラン科オルキス属Orchisに属する地生ランで落葉性。北半球の温帯から亜寒帯,とくにユーラシア,北アフリカに多くの種が分化しており,北アメリカとカナリア諸島にも2種ずつが分布する。花は穂状あるいは総状の花序に多数つき,多くはピンク~紅色で美しく,欧米では観賞用に栽植されるが,肥えた土で水はけのよい条件が必要で,日本では露地ではうまく育たない。広義のオルキス属は日本のハクサンチドリ,ウチョウランなども含み,後者やヒナチドリは花形や花色に変異が多く,山草愛好家に栽培されるが,乱採されるため多くの生育地が破壊された。
オルキス属は地中に球状に肥大した根をもち,春その根から発芽し,茎を地上に直立させ,線状の葉を出す。秋によく肥大したこの球根を掘り取って繁殖させ,栽培する。水はけのよい土に毎年,春に植えかえて育てる。夏は風通しをよくし,木陰におくのがよい。
執筆者:江尻 光一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報