日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハクサンチドリ」の意味・わかりやすい解説
ハクサンチドリ
はくさんちどり / 白山千鳥
[学] Dactylorhiza aristata (Fisch. ex Lindl.) Soó
Orchis aristata Fisch.
ラン科(APG分類:ラン科)の多年草。塊根は肥厚し、先端が掌状に分裂する。花茎は高さ20~30センチメートル、下部に葉を数枚互生する。6~8月、茎頂に径約1センチメートルの紅紫色花を十数個開く。唇弁は約1センチメートルで斑紋(はんもん)が目だち、先端は3裂する。距(きょ)は長さ約1.5センチメートル、やや太い。高山のやや湿った草原に生え、中部地方以北の本州、北海道、および中国東部、アラスカの太平洋沿いに分布する。
広義のハクサンチドリ属は、花粉塊の下にある粘着体が小胞とよばれる袋に包まれることで特徴づけられる。北半球に約100種あり、日本にはほかに、オノエラン、ニョホウチドリ、ウチョウランなどが分布する。新しい分類では、オノエランはカモメラン属、ニョホウチドリとウチョウランはウチョウラン属となっている。
[井上 健 2019年5月21日]