オルフェオ物語(読み)オルフェオモノガタリ(英語表記)Favola di Orfeo

デジタル大辞泉 「オルフェオ物語」の意味・読み・例文・類語

オルフェオものがたり【オルフェオ物語】

原題、〈イタリアFabula di Orfeo》イタリアの詩人・人文主義者、ポリツィアーノ詩劇。1480年、マントバ枢機卿フランチェスコ=ゴンザーガの求めにより書かれた作品

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「オルフェオ物語」の意味・わかりやすい解説

オルフェオ物語
おるふぇおものがたり
Favola di Orfeo

イタリアの詩人A・ポリツィアーノの詩劇。1480年6月マントバで、枢機卿(すうきけい)フランチェスコ・ゴンザーガの求めによってつくられた。それは枢機卿の宮廷で催される祝宴に供されるはずのものであり、「2日間で、絶えざる喧噪(けんそう)のなかで」書かれた。『オルフェオ物語』は聖劇の上演形式と対話体の牧歌の形式とを総合したもので、主題は、オウィディウスの『転身譜』と、ウェルギリウスの『農耕詩』の第4巻から引き出されたオルフェオとエウリディチェをめぐる悲劇的な神話である。ポリツィアーノは民衆の恋愛詩の形式を洗練した仕方で利用し、それを古典的な叙情詩の形式と融和させた。この作品によってイタリアの演劇は、宗教劇から脱皮して世俗劇の誕生を迎えることになる。またこの作品にメロドラマの誕生をみる批評家もいる。古典語の詩にしか積極的な価値を認めなかったポリツィアーノは、イタリア語で書いたこの作品を高く評価しなかったが、今日ではそれはイタリア文学史上重要な作品とみなされている。

[佐藤三夫]

『Ida MaïerAnge Politien. La Formation d'un Poète Humaniste(1469―1480)(1966, Genève)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

部分連合

与野党が協議して、政策ごとに野党が特定の法案成立などで協力すること。パーシャル連合。[補説]閣僚は出さないが与党としてふるまう閣外協力より、与党への協力度は低い。...

部分連合の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android