日本大百科全書(ニッポニカ) 「エコンドライト」の意味・わかりやすい解説
エコンドライト
えこんどらいと
achondrite
石質隕石(いんせき)のうち、コンドルール(ミリメートル・サイズのケイ酸塩液滴)を含まないものの総称。別名無球粒隕石。その組織は地球上の火成岩に類似し、地球に落下する隕石の9%を占める。エコンドライトは、その化学組成および鉱物組成に基づいて9種類に分類される。そのうちの4種類(ユークライト、ホワルダイト、アングライト、ダイオジェナイト)は、層構造をもつ半径数百キロメートルの小天体の破片である。この小天体の中心部は、隕鉄、石鉄隕石の一種パラサイトが占めていた。この小天体に類似する現存小天体は小惑星ベスタである。他の2種類(オーブライトとユレーライト)は、それぞれ別個の小天体の破片である。これらの隕石の形成年代は45.5億年前であり、小惑星帯起源と考えられている。残る3種類(シェルゴツタイト、ナクライト、シャシナイト)は、その形成年代が13億年前であり、火星表面からなんらかの衝撃によって飛散した隕石である可能性が強い。
[小沼直樹]