オーストラリア新安全保障ガイドライン(読み)おーすとらりあしんあんぜんほしょうがいどらいん

知恵蔵 の解説

オーストラリア新安全保障ガイドライン

オーストラリア政府が2005年12月に発表した、安全保障に関する新しいガイドライン。インドネシアで毎年発生する爆弾テロ事件では、オーストラリア人が巻き込まれる可能性が高く、オーストラリア政府にとっては海外での治安対策が緊急の課題となっている。さらに国内でもイスラム過激派アジトが摘発され、爆弾テロ計画に使用できる爆薬などが発見されており、内外を視野に置いた安全保障政策の立案が不可欠となってきた。同ガイドラインは3つの優先課題として、(1)テロの脅威、(2)大量破壊兵器の拡散問題、(3)近隣諸国への支援を指摘。とりわけ内外におけるテロの脅威を最も重要な課題として取り上げ、テロ問題への対応を安全保障政策の最優先課題に位置づけている。具体的にはイラクアフガニスタンにおける対テロ戦争や東南アジアにおける広域テロ組織ジェマー・イスラミア(JI)による爆弾テロ事件が、オーストラリアのテロ対策にとって緊急性を要する。このため陸軍を再編して強靭性と機動性を高め、テロ対策用の部隊を充実させることを打ち出した。米豪両国はテロ対策を念頭に、クイーンズランド州沿岸部に合同軍事訓練施設を建設することで合意しており、オーストラリアの対米連携はテロ対策を軸に強化されつつある。

(竹田いさみ 獨協大学教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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