カイエビス(読み)かいえびす(その他表記)Kai soldierfish

日本大百科全書(ニッポニカ) 「カイエビス」の意味・わかりやすい解説

カイエビス
かいえびす / カイ恵比寿
Kai soldierfish
[学] Ostichthys kaianus

硬骨魚綱キンメダイ目イットウダイ科に属する海水魚。和名はカイエビスの模式地である、インドネシアのバンダ海カイ諸島に由来する。伊豆半島以南、沖縄舟状海盆(しゅうじょうかいぼん)(トラフ)、九州・パラオ海嶺(かいれい)、南シナ海、バンダ海、北西オーストラリア、レユニオン島などに分布する。体は側扁(そくへん)してやや高く、体高は体長の2分の1よりすこし低い。体は硬くて粗雑な鱗(うろこ)で覆われる。前鰓蓋骨(ぜんさいがいこつ)の下端の角部に棘(とげ)はなく、臀(しり)びれの軟条は10本以上あることでアカマツカサ亜科に属す。成魚では鼻骨に前方へ向かう棘がなく、両鼻骨の間の溝はV字型である。体の鱗の表面は粗雑である。第1背びれは12棘(きょく)で、第2背びれとの間は鰭膜(きまく)でつながる。体は赤く、各縦鱗列(りんれつ)に沿って1列の銀白色点が並ぶ。エビスダイに似るが、カイエビスは側線上方横列鱗(おうれつりん)数(背びれ棘部の中央から側線まで)が2.5枚(大きい鱗が2枚と小さい鱗が1枚)であるのに対し、エビスダイでは3.5枚であることで区別できる。全長は36センチメートルほどになるものもあるが、普通は20センチメートルまでのものが多い。深い所にすむイットウダイ類で水深150~600メートル(まれに45メートル)からトロール網延縄(はえなわ)で漁獲される。肉は白身で硬く、刺身鍋物(なべもの)、煮つけにするとおいしい。

[尼岡邦夫 2016年8月19日]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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