カインコンプレックス(読み)かいんこんぷれっくす(その他表記)Cain complex

デジタル大辞泉 「カインコンプレックス」の意味・読み・例文・類語

カイン‐コンプレックス(Cain complex)

兄弟に対して競争心嫉妬しっと敵意を抱く心的傾向名称旧約聖書中の人物カインにちなむ。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「カインコンプレックス」の意味・わかりやすい解説

カイン・コンプレックス
かいんこんぷれっくす
Cain complex

同胞葛藤(かっとう)ともいう。『旧約聖書』の「創世記」によれば、アダムエバイブ)の長子として生まれたカインは、弟のアベル嫉妬(しっと)し、アベルを殺害する。このことから精神分析では、兄弟間の競争心、敵意、攻撃のことをカイン・コンプレックスという。一般には、親の愛情や承認を独占しようとすることをいう。兄弟コンプレックスともよばれるが、エディプス・コンプレックスの一側面を強調するものである。フロイトは、文豪ゲーテの幼児期の記憶をもとに、一見いたずらとみられるような子供の行為に同胞に対する無意識的な嫉妬、憎しみ排除願望が隠されていることを明らかにしている。下に弟・妹が生まれたときに上の子が赤ちゃんに戻ったかのような行動をとる「赤ちゃん返り」も同胞葛藤の一つの現れである。

[外林大作・川幡政道]

『フロイト著、高橋義孝訳「『詩と真実』中の幼年時代の一記億」(『フロイト著作集3』所収・1969・人文書院)』

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