アベル(読み)あべる(英語表記)Kjeld Abell

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アベル」の意味・わかりやすい解説

アベル
Abell, Kjeld

[生]1901.8.25. リベ
[没]1961.3.5. コペンハーゲン
デンマーク劇作家。 H.J.イプセン以来の伝統から離れ,映画の手法を取入れた新しい作劇術によって,初期の『失われたメロディー』 Melodien der blev væk (1935) で早くも大成功を収めた。「劇場は常に自由な思想の戯れの国でなければならない」というのが彼の信念。代表作『アンナ・ソフィー・ヘドウィー』 Anna Sophie Hedvig (39) は独裁者に対するアレゴリカルな風刺で,暗にナチズムを鋭く批判したもの。第2次世界大戦でドイツ軍が進駐した際も,象徴劇の形で批判を続けた。ほかに『シルケボア』 Silkeborg (46) ,『椿姫』 Kameliadamen (59) など。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アベル」の意味・わかりやすい解説

アベル(Kjeld Abell)
あべる
Kjeld Abell
(1901―1961)

デンマークの劇作家。映画的手法などを取り入れた作劇術と、鋭い社会批判と風刺で、今日もっとも人気のある作家の一人。処女作『失われたメロディー』(1935)に、社会体制のなかで自分の好む音楽を捨てることを求められた平凡な市民の悲喜を描いて大成功を収め、『アンナ・ソフィ・ヘドウィー』(1935)、ドイツ軍進駐時代を描いた『シルケボア』(1946)などでファシズム台頭下の社会を批判し、『雲の上の日々』(1947)では神々の住む雲の上の世界を借りて原爆経験後の科学者の苦衷を描いた。中国旅行後に書いた『青い狆(ちん)』(1954)は、狆はまた北京(ペキン)人の意をもつように、象徴的な風刺劇で、彼の最高傑作とされる。

[山室 静]


アベル(旧約聖書)
あべる
Abel

旧約聖書』の「創世記」に述べられている人類の始祖アダムとイブ次男ヘブライ語でhebel/hābelとつづる。彼の捧(ささ)げる供物犠牲(いけにえ)の子ヒツジ)が神に受け入れられるのをみて、兄カインは彼をねたみ、アベルを殺害する。人類最初の兄弟殺しの犠牲者であり、また後の殉教者祖型とも解される。

[月本昭男]


アベル(Niels Henrik Abel)
あべる

アーベル


アベル(Othenio Abel)
あべる

アーベル

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