日本大百科全書(ニッポニカ) 「カカヤンバラ」の意味・わかりやすい解説
カカヤンバラ
かかやんばら
[学] Rosa bracteata Wendl.
バラ科(APG分類:バラ科)の常緑藤本。ヤエヤマノイバラともいう。茎は地をはうか、あるいは下へ曲がった強い刺(とげ)で他物にひっかかって伸び10メートルに及ぶ。茎は初め緑色、のちに茶褐色となる。枝に密に毛があり、刺は葉柄の基部に1対ある。小葉は倒卵楕円(だえん)形で7~11枚あり、表面は光沢があり、裏面は中央脈に毛がある。花は径5~7センチメートル、純白の大花で、小枝の先に1個から数個つく。萼片(がくへん)は全縁で内面に密に毛がある。花柄は短く、毛のある大きな包葉を伴っているのが特徴である。果実は球形で径3~3.5センチメートル。暖地の海岸に生え、石垣島および中国南部の浙江(せっこう)省、福建省などに分布する。馬場大助の『草木譜』(1830~1843)に、八丈島の船がカガヤン国(フィリピンのルソン島)に漂着して種子を持ち帰ったことが記載されている。
[鈴木省三 2019年12月13日]