かげろふの日記遺文(読み)かげろうのにっきいぶん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「かげろふの日記遺文」の意味・わかりやすい解説

かげろふの日記遺文
かげろうのにっきいぶん

室生犀星(むろうさいせい)の中編小説。1958年(昭和33)7月から翌年6月まで『婦人之友』に発表。59年12月講談社より刊行野間文芸賞受賞右大将道綱母(みちつなのはは)の『蜻蛉(かげろう)日記』を素材にその世界を描いている。犀星は原典にわずか数十行書かれている町の小路の女に目をひかれた。一時兼家の愛を受けながら、その子を生んでから急に見捨てられ、行方不明になるその物語の女に、幼い日の犀星を養家に残して姿を隠さねばならなかった自分の生母を重ねて、忘れられなかった。そういう生母へのあこがれを背景にした作である。

[鳥居邦朗]

『『室生犀星全集11』(1965・新潮社)』

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