改訂新版 世界大百科事典 「カザン大学」の意味・わかりやすい解説
カザン大学 (カザンだいがく)
Kazanskii Universitet
ロシア連邦タタールスタン共和国の首都カザンにある大学。1804年創立。ロシア最古の大学のひとつで,帝政時代には歴史・言語学,物理学,医学,法学の4学部から成っていた。十月革命後に拡充され,1977年には歴史・言語学(タタール語およびタタール文学をふくむ)など8学部をもち,ボルガ川流域やウラル地方近辺の文化・教育の中心的機関となっている。帝政時代から多数の著名な学者が教鞭をとり,数学者N.I.ロバチェフスキーは1827年から19年間学長を務めた。言語学者ボードゥアン・ド・クルトネは75-83年に教授を務め,のちのプラハ言語学派につながるカザン学派を創立。作家のS.T.アクサーコフやレフ・トルストイはこの大学で学んだ。帝政末期には反体制的な学生運動の一拠点となり,しばしば政府の弾圧を受けた。レーニンもこの大学に在学中に学生運動への参加を理由に放校処分をうけた。1925年以降,大学は彼の名を冠して呼ばれてきた。
執筆者:今井 義夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報