東洋学
とうようがく
Orientalism; Oriental Studies
東洋を対象とし,その人文科学を研究の主体とする学問の総称。東洋という用語の曖昧さによってその概念や範囲は各国各人によって相違するが,現在一般に欧米ではこれを「アジア・北アフリカ」地域の研究に特定,日本では日本を含まない東洋全般の研究をさす。日本や中国を包括した東洋学の萌芽は,モンゴル帝国の出現によって,ヨーロッパ・アジア両大陸が初めて連結した時点に求められる。その結果カルピニやマルコ・ポーロらが訪れ,中国や日本に関する情報を西洋に伝えた。これによって刺激された東洋に対する関心は,16世紀以降,カトリックの布教を目的とするイエズス会宣教師によって受継がれ,彼らの伝えた東洋の国情や文物は,ヨーロッパに大きな影響を与えた。それは 18世紀に学問研究の対象となり,19世紀に各地の大学に学会や講座がおかれるようになった。現在アメリカを加えた西洋各国で,多彩な東洋学の研究が行われ,すぐれた学者や業績が生れている。
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とうよう‐がく トウヤウ‥【東洋学】
〘名〙 近世以後ヨーロッパで起こった、東洋の
言語、
文学、
歴史、
宗教、
哲学、
芸術など、狭義の文化を研究する学問。初めはオリエント地方の文化の研究をさしたが、今日ではアジア全域と北アフリカにまで及ぶ。〔
哲学字彙(1881)〕
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デジタル大辞泉
「東洋学」の意味・読み・例文・類語
とうよう‐がく〔トウヤウ‐〕【東洋学】
東洋の言語・文学・歴史・宗教・哲学・芸術などを研究対象とする学問の総称。18世紀以降のヨーロッパに始まる。
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とうようがく【東洋学】
東洋学とは東洋を対象とする研究のことで,英語のOrientalism(オリエンタリズム)またはOriental Study(オリエント学)の訳語に当たる言葉であり,東方学とよぶこともある。実際の用例としては,単に東洋の事物万般に関する研究をさすのではなく,東洋の言語,文学,歴史,宗教,哲学,学術,美術,音楽など,狭義の文化を研究する学問を意味し,文献学的ないしは歴史学的な手法で研究されることが多い。
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