改訂新版 世界大百科事典 「カシュー樹脂塗料」の意味・わかりやすい解説
カシュー樹脂塗料 (カシューじゅしとりょう)
漆に類似した性質をもつ合成漆塗料で,漆の代用に用いられる。自然乾燥型と焼付乾燥型の2種類がある。塗膜はじょうぶで耐薬品性がすぐれ,漆のように高価でなく,乾燥に際して格別の配慮を払う必要がない。ウルシオールに似た構造を有するカシューナッツ殻液,またはこれと類似の天然フェノール含有物質に,フェノール類を加え,この混合物とアルデヒド,乾性油を反応させてつくったワニスを基体とした塗料で,カシュー樹脂ワニスcashew varnish(屋内用木製品,金属製品の透明塗装用),カシュー樹脂エナメルcashew enamel(屋内用木製品,金属製品の不透明塗装の上塗用),カシュー樹脂下地類(エナメル塗装の際に,プライマー,パテ,サーフェーサーとして使用)がある。カシュー樹脂ワニスはさらに,(1)塗膜が透きつや漆に似た色とつやを有するもの,(2)梨地漆に似た色とつやを有するもの,(3)塗膜が淡色で柔軟なもの,の3種に分類される。
執筆者:大藪 権昭
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