パテ(読み)ぱて(英語表記)Pathé

日本大百科全書(ニッポニカ) 「パテ」の意味・わかりやすい解説

パテ
ぱて
Pathé

映画産業草創期に誕生したフランスの映画会社。1894年にエジソン蓄音機興行キネトスコープの販売で商売を始めたシャルル・パテCharles Pathé(1883―1957)が、1896年に兄たちとともに設立したパテ・フレール社が始まり。1901年からはフェルディナン・ゼッカFerdinand Zecca(1864―1947)と組んで本格的に映画製作に乗り出す。ゼッカは驚異的なペースで映画を量産し、喜劇を始めとするさまざまなジャンルを開拓した。ゼッカにみいだされてパテ社と正式契約した俳優のマックスランデールは「マックス」シリーズ(1910~1919)で大人気となり、最初期の喜劇映画スターとなった。パテ社は世界各国に支社や系列会社を設立し、映画製作のみならずカメラや映写機、生フィルムの製造、配給と興行まで映画のすべてを手がける世界最大の映画会社に発展し、パテ映画帝国とよばれた。また1922年には9.5ミリの小型家庭用映画を開発。映写機、映画、カメラを発売して世界中に広め、パテ・ベビーとして親しまれた。しかし第一次世界大戦の勃発(ぼっぱつ)以降、フランス映画衰退とともにパテの勢いも衰える。1929年にベルナール・ナタンBernard Natan(1886―1942)が経営権を握り、パテ・ナタンとして経営改善を図ったが、会社は1936年に倒産。1943年にパテ・シネマとして復活し、戦後はジュリアン・デュビビエやマルセル・カルネらの商業映画を製作、また外国との合作に力を入れた。1960年代なかばからは映画製作よりも劇場網の再編と配給、およびテレビ番組の製作を重視。現在は「パテ」という社名で映画の製作・配給・興行、ソフトウェア販売などの事業を展開している。

[伊津野知多]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「パテ」の意味・わかりやすい解説

パテ
Pathé, Charles

[生]1863.12.25. シェブリ=コシーニ
[没]1957.12.26. モンテカルロ
フランスの映画制作者。初め巡回興行者であったが,のちに映画器材の製造販売を始め,1896年パテ兄弟会社を設立した。以来旺盛な企業精神をもって制作,配給に活躍,世界の映画館を支配し,パテ時代を築いた。喜劇の名優マックス・ランデのよき協力者でもあったが,第1次世界大戦後,アメリカ映画進出市場を奪われた。

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