熱帯アメリカ原産で,現在は広く世界の熱帯地域に栽培されているウルシ科の常緑果樹。マガタマノキとも呼ばれる。樹高10m余りになり,切口からは白色の乳液を出す。葉は革質,長さ10~20cm。花は小型で,枝頂に円錐花序につき,両性花と雄花を混在し,白っぽい黄緑色か赤色をおびる。果実は勾玉(まがたま)状(長さ2.5~3cm)で,紅色で光沢のある花梗(多肉のヨウナシ状に肥大し長さ4~8cm)の頂端につく。若芽や葉が野菜とされるが,利用対象で重要なものは種子で,果肉をとりさった腎臓形のカシューナッツは,炒(い)って広く食用にされていて約50%の油を含む。果肉から採れる暗褐色の油は粘性のある乾性油で,耐水性の塗料などに利用される。花梗が肥大した部分はカシューアップルと呼ばれ,酸性があり,生食や焼いて食べるほか,ジャムをつくる。また,樹幹から採取される樹脂は防虫性があるといわれ,製本や木工に利用される。材は家具やボートの製作などに使われる。
執筆者:堀田 満+志村 勲
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