化学辞典 第2版 「カナマイシンA」の解説
カナマイシンA
カナマイシンエー
kanamycin A
C18H36N4O11(484.50).Streptomyces kanamyceticusが産生するアミノ配糖体抗生物質.微量成分であるカナマイシンBおよびCも同時に産生される.白色の結晶.分解点263~268 ℃.+146°(0.1 mol L-1 硫酸).UV吸収はない.水溶性塩基性物質で,メタノール,クロロホルムに不溶.細菌のリボソームの30Sおよび50Sの両サブユニットに結合して,タンパク質合成を阻害する.グラム陽性菌およびグラム陰性菌に強い殺菌活性を示す.経口投与では吸収されず,硫酸塩が筋肉注射で抗結核薬として使用されている.なお,カナマイシンBは結核菌には弱いが,ほかの病原菌に対する抗菌力はAより5倍強く,ベカナマイシンの一般名で臨床使用されている.また,耐性菌に有効なジベカシンはカナマイシンBの誘導体である.LD50 583 mg/kg(マウス,静注).
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報