日本大百科全書(ニッポニカ) 「カワカイメン」の意味・わかりやすい解説
カワカイメン
かわかいめん / 川海綿
[学] Ephydatia fluviatilis
海綿動物門尋常海綿綱単骨海綿目タンスイカイメン科に属する淡水産動物。川、池、沼の水草や棒切れなどに付着して生息する緑色のカイメンで、外形は不定で体質はもろい。体色が緑色を帯びるのは、体内に共生する緑藻類による。したがって、日陰に生息するものは緑藻類の生育が悪いため、カイメンの色も灰色ないし褐色になる。カワカイメンもほかの淡水海綿と同様に、冬季に体内芽球とよばれる無性生殖芽をつくるが、それ以外の季節でも生息環境が悪くなるとこの現象がおこる。芽球は直径0.5ミリメートル程度の球状を呈し、春季あるいはそれ以外の季節でも環境がよくなると変形細胞が外へ出てカイメンへと成長していく。日本にはヌマカイメンSpongilla lacstrisなども含めて30種余りの淡水海綿が生息するが、それらのほとんどの種は世界的に広く分布している。利用価値はない。
[星野孝治]