自動車内で音楽を聴くための装置。放送を受信するためのチューナー、音楽を録音した媒体とこれを再生するプレーヤー、増幅器およびスピーカーからなる。カーステレオともよばれるが、より広い概念を表現するカーオーディオの呼称が一般的である。
[吉川昭吉郎]
(1)アナログ技術時代 アナログ技術の時代は、録音媒体は磁気テープが主流であった。初期のころ、エンドレス・カートリッジが使われたことがあるが、その後、コンパクトカセット(3.81ミリメートル幅の磁気テープ、4トラック2チャンネルのステレオ録音)が一般のオーディオ用に普及するに伴い、一般用と共用できるコンパクトカセットが主流となった。コンパクトカセットのプレーヤーは一般に車に標準装備として備えられ、ダッシュボードに取り付けられた。
(2)デジタル技術時代 1982年(昭和57)にCD(コンパクトディスク)が発売されるのを契機として、それ以後オーディオ記録・再生の方式は、アナログ技術からデジタル技術に移行する。CDはコンパクトカセットに劣らない取扱い上の便利さをもち、媒体としての信頼性と音質の点ではるかに優れているために急速に普及した。CDプレーヤーの自動車への代表的な取付け方法は、セダンの場合、ダッシュボードに直接取り付けたり、専用のケースを備えたプレーヤーをトランク内に装着したりする。いずれの場合も、ダッシュボードのコントロール・パネルの操作で希望のCD、希望のトラックを選択できるようにしたものが多い。
CD以外の媒体として、MD(ミニディスク)、DAT(デジタルオーディオテープレコーダー)などが使われたこともあるが、普及定着することなく終わった。
カーナビゲーション・システム(俗称カーナビ)の普及に伴い、AV(オーディオビジュアルaudiovisual)一体型とよばれるシステムが開発商品化され、カーナビがカーオーディオの機能とビデオシステムの機能を兼ね備えることも多くなった。今後の主流の一つになるものと考えられる。
[吉川昭吉郎]
…今までのオーディオは部屋の中で音を楽しむ形態が主流であったが,アウトドアオーディオと呼ばれる戸外で楽しむ分野も盛んになっている。その一つはカーオーディオで,従来のカーラジオが高級化し,FM受信とテープ録音再生の機能を加えて,車内におけるオーディオシステムがカーライフの中に定着した。また,戸外のレジャーに持ち歩くポータブルオーディオといわれる分野も盛んになっている。…
※「カーオーディオ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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