MD(読み)えむでぃー

日本大百科全書(ニッポニカ) 「MD」の意味・わかりやすい解説

MD
えむでぃー

コンパクトディスクCD)の約半分の大きさの、直径6.4センチメートルの光ディスク。ミニディスクMini Diskの略。カートリッジに収められており、数十時間までの録音・再生が可能である。1992年(平成4)に日本のソニー社が発売。再生専用の光ディスクと録音・再生用の光磁気ディスクがあり、自社開発の、聴覚心理モデルに基づいた情報量の削減を行うデジタルオーディオ音声圧縮技術(ATRAC:Adaptive TRansform Acoustic Coding)により、CD並みの音質と録音時間が得られた。モノラル・モードとステレオ・モードがあり、文字記録も可能で、編集が容易で衝撃にも強いことから、携帯用や自動車用に期待された。しかし、先行したCDには及ばず、再生専用のMDは1999年に発売を中止した。録音・再生用は、2000年(平成12)に従来の2倍または4倍の時間の記録を可能にしたMDLP(Mini Disc Long-Play mode)、2001年にパソコンに録りためた音楽の転送が可能なNet MD(ネットエムディー)、2004年に45時間の録音が可能なHi-MD(ハイエムディー)、2005年に画像記録も可能なHi-MD PHOTO(フォト)などと改良は進んだが、iPod(アイポッド)(アメリカのアップル社の携帯音楽プレーヤー)の登場などにより海外ではほとんど普及せず、2007年には各メーカーが販売生産を停止。ソニー社も2011年に生産を終了し、2013年にはMD搭載機器の出荷も停止した。

[岩田倫典 2015年4月17日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「MD」の意味・わかりやすい解説

MD
エムディー

光磁気ディスクを用いたデジタルオーディオ用の記録媒体。ミニディスク mini diskの略。1992年にソニーが開発した。ATRAC(Adaptive Transform Acoustic Coding)と呼ばれるデジタルオーディオ圧縮技術の採用により,情報圧縮率は CD(コンパクトディスク)や DAT(デジタルオーディオテープ)の 5分の1程度となり,直径 64mmのディスクをフロッピーディスク型の小型ケースに収めて使用した。磁気テープカセットテープに比べ楽曲の読み出しが早い,音質が優れ劣化がない,携帯が容易といった利点から一般に浸透した。2000年代に入って iPod半導体メモリによる携帯音楽プレーヤが普及し始めるとしだいに取って代わられ,2013年には録音再生機器の生産が終了した。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報