カーボンプライシング

デジタル大辞泉 「カーボンプライシング」の意味・読み・例文・類語

カーボン‐プライシング(carbon pricing)

二酸化炭素排出に対して価格付けをし、市場を通じて排出量を抑制する政策手法。地球温暖化防止を目的とする。炭素税排出量取引二国間クレジット制度などの仕組みがある。炭素課金

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

共同通信ニュース用語解説 「カーボンプライシング」の解説

カーボンプライシング(CP)

企業などが排出する二酸化炭素(CO2)に価格を付ける制度で、排出量に応じ金銭負担が生じる。企業同士が市場で排出枠を取引する「排出量取引」や排出した企業などに一律に負担が生じる「炭素税」がある。ただ、炭素税はCO2排出企業の急激な負担拡大につながりかねないとの懸念が産業界にあるため政府導入を見送った。政府は脱炭素投資向けの「GX経済移行債」を今後10年間で総額20兆円程度発行する計画で、CPによる収入を償還財源に充てる。

更新日:

出典 共同通信社 共同通信ニュース用語解説共同通信ニュース用語解説について 情報

知恵蔵 「カーボンプライシング」の解説

カーボンプライシング

企業や家庭などから排出される二酸化炭素(CO2)に価格を付け、各々の排出量に応じた負担を課すことによって、CO2の排出削減を促す取り組みの総称。主なものに、CO2の排出量に応じて、国が企業や個人に課税する「炭素税」や、あらかじめ割り当てられた排出量の上限を超過したり、下回ったりした場合、国や企業間などで排出量を売買できる「排出量取引」などがある。地球温暖化が進む中、企業や家庭におけるCO2の排出抑制や、CO2削減のための技術革新につながる取り組みとして期待されている。
世界的には、1990年代から北欧などで炭素税の導入が進み、2005年には、欧州連合(EU)が域内での排出量取引制度をスタートさせた。その後も北米南米、アジアなど各国で炭素税や排出量取引制度などの取り組みが広がっている。
日本では、炭素税に当たる「地球温暖化対策税」が12年から施行されている。原油やガス、石炭といったすべての化石燃料の輸入者や採掘者などに対し、CO2排出量に応じた負担を求めているが、課税額はCO2排出量1トン当たり289円と、欧州などで実施されている炭素税と比べると非常に安い。また、排出量取引制度については、東京都など一部の自治体での導入にとどまっており、国全体としては実施されていない。
16年、地球温暖化を防ぐための国際ルール「パリ協定」が発効し、世界的にCO2排出を減らす取り組みが進められている。日本は協定に基づき、温室効果ガスの排出量を2050年までに80%削減する目標を掲げているが、地球温暖化対策税など現状の取り組みを進めるだけでは達成が困難だと言われている。このため、環境省は17年6月から有識者による検討会を開き、18年3月、カーボンプライシングの導入を促す報告書をまとめた。18年7月には中央環境審議会にカーボンプライシングの活用に関する小委員会を

(南 文枝 ライター/2018年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

知恵蔵mini 「カーボンプライシング」の解説

カーボンプライシング

二酸化炭素(CO2)に価格を付け、企業や家庭が排出量に応じて負担することで、CO2の排出削減を促す施策の総称。主な施策に、化石燃料の使用に伴うCO2排出量に応じて課税する「炭素税」と、CO2の排出超過分や不足分を国同士や企業間で取引する「排出量取引制度」がある。炭素税は1990年代より欧米を中心に導入が進み、排出量取引制度は2005年に欧州連合(EU)が導入して以降、北米やアジア諸国でも導入が広がっている。17年現在、日本では「地球温暖化対策税」として炭素税が導入されているが、諸外国に比べて税率は極めて低い水準にある。また、排出量取引制度も一部の地方自治体での導入に留まっており、全国的な制度の実現には至っていない。日本は16年に発効した地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」に基づき、温室効果ガスの排出を50年までに80%削減する目標を掲げていることから、環境省がカーボンプライシング制度の本格的な導入を検討し、18年度前半までに提言をまとめるとしている。

(2017/8/29)

出典 朝日新聞出版知恵蔵miniについて 情報

今日のキーワード

部分連合

与野党が協議して、政策ごとに野党が特定の法案成立などで協力すること。パーシャル連合。[補説]閣僚は出さないが与党としてふるまう閣外協力より、与党への協力度は低い。...

部分連合の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android