日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
コンバインドサイクル発電
こんばいんどさいくるはつでん
火力発電の一種で、ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせた複合発電方式。ガスタービンから出る高温の排気ガスを蒸気タービンのボイラー熱源に利用し、プラントの総合熱効率を向上するものである。
従来の蒸気タービンのシステムの効率をあげるには蒸気温度を上げることが必要で、再加熱して500℃の超臨界圧蒸気を用いる大型火力発電所でも効率は50%を超えることはできない。そこで考え出されたのがガスタービン発電との組み合わせである。ガスタービンの排ガスが600℃以上であることから、これで蒸気タービンの蒸気を発生させることができる。
ガスタービンは蒸気タービンと異なり、燃焼ガスを直接利用するので燃焼ガスの1000℃以上の高い温度を利用でき、高効率である。タービンの翼の耐熱にくふうをして将来はさらに高い温度の領域を利用することも研究されている。これらを改良型複合サイクル発電(アドバンストコンバインドサイクルAdvanced Combined Cycle発電=ACC発電)とよんで日本では主流になりつつある。日本は1950年(昭和25)ごろまでは火力発電の熱効率は30%以下であったが、1970年にはコンバインドサイクル発電の普及で40%になり、2000年(平成12)以降ではACC発電が採用されて50%を超えている。この熱効率のよさは地球温暖化問題に対して世界を大いにリードしているといえる。
[嶋田隆一]