ガレオン貿易

山川 世界史小辞典 改訂新版 「ガレオン貿易」の解説

ガレオン貿易(ガレオンぼうえき)

スペインマニラメキシコアカプルコを結んだガレオン船による貿易。1815年の廃止まで約250年間,スペインのフィリピン経営を支えた。マニラのスペイン人は福建からの中国船がもたらす絹織物陶磁器(のちにインド産綿布も加わる)をメキシコに送り,メキシコと南米ポトシのを輸入した。マニラは福建と新大陸(新世界)市場を結ぶ交易の結節点となった。新大陸の銀が恒常的に中国などにもたらされ,東アジアや東南アジアの経済に大きな刺激を与えた。この貿易は,スペイン人に莫大な利益をもたらすとともに,マニラに来航する中国人移民を増加させた。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ガレオン貿易」の意味・わかりやすい解説

ガレオン貿易
ガレオンぼうえき
Galleon

1572~1815年,スペインがガレオン船を用いてメキシコのアカプルコとフィリピンのマニラとの間で行なった太平洋貿易。西に向けて新大陸の銀が送られ,東に向けて中国の絹織物,陶磁器,工芸品が,また 18世紀以後はインドからくる毛織物綿織物が運ばれた。この貿易はフィリピンのスペイン人経済を潤したが,フィリピン人社会とは無縁であった。 1815年のメキシコ独立によってこの貿易は終り,さらに 34年のマニラ開港によってフィリピンは貿易面でイギリスとアメリカの支配下におかれた。

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世界大百科事典(旧版)内のガレオン貿易の言及

【ガレオン船】より

…17世紀前半にはビークヘッドも短いヘッドに変わり,ガレオン船の名まえも消えたが,新大陸やフィリピンとスペイン本国を往復する船は,18世紀にもガレオン船と呼ばれていた。【山形 欣哉】
[ガレオン貿易]
 広義には,15~16世紀の大航海時代から19世紀にかけて,スペインおよびポルトガル両国を中心に展開されたガレオン船による大洋貿易を指す。狭義には,フィリピンのマニラとメキシコのアカプルコを結ぶ大帆船貿易を指し,今日,歴史用語として固有名詞化されて用いられるのは後者である。…

【大航海時代】より

…1400年ころから1650年ころまでの,ヨーロッパ人による海外進出が始まり,新旧両大陸におけるその勢力範囲が確定した時期をさす。〈地理上の発見〉の時代とも呼ぶ。
[背景]
 1300年ころの西ヨーロッパはビザンティン帝国支配下の地中海東部地域,マムルーク朝支配下の西アジア,エジプトに対して金,銀,銅,奴隷などを輸出し,絹織物などの手工業製品,香料などの東方の産物を輸入していた。この地中海東部地域を起点として地中海を西に向けて横断し,ジブラルタル海峡から大西洋に出て,ヨーロッパ大陸の海岸に沿って北上し,バルト海に入ってロシアに到達する海上貿易ルートが西ヨーロッパの国際経済の大動脈であった。…

※「ガレオン貿易」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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