改訂新版 世界大百科事典 「キャリアシステム」の意味・わかりやすい解説
キャリア・システム
career system
公務を生涯の職業として保障する制度。また,その官職をキャリア・サービスcareer serviceという。現代国家における行政機能の拡大と行政内容の複雑・専門化とともに,行政の安定した,継続的運営のためには,専門的知識と能力を備えた公務員の確保が必要となってきた。こうした必要にこたえて,キャリア・システムの確立が現代の公務員制度の中心的課題になっている。とくにアメリカでは,終身雇用,年功序列の強い日本とは異なり,スポイルズ・システム(猟官制度)と呼ばれる政治的情実任用が広範に行われてきた。その後,メリット・システム(業績主義)による資格任用制が拡大してきたが,今日でも高級公務員については,依然として政治的任用が広く行われている。したがって高級公務員をふくめて,生涯職公務員制度career service systemを確立しようという改革提案が提唱され,さまざまな改革の試みがなされている。なお,裁判官についてのキャリア・システムについては,〈法曹〉の項を参照されたい。
→公務員
執筆者:君村 昌
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報