放射性核種(読み)ホウシャセイカクシュ

大辞林 第三版の解説

ほうしゃせいかくしゅ【放射性核種】

放射能をもつ核種。すなわち自然に放射線を放出して、他の原子核に変わる原子核。天然放射性核種と人工放射性核種とがある。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

放射性核種
ほうしゃせいかくしゅ
radionuclideradioactive nuclide

原子核のなかには、粒子や電磁波などの放射線を放出して、自然に他の原子核に変わったり、状態を変えたりして(これを放射性崩壊とよぶ)、他の状態や別の原子核に変化するものがある。このような原子核を放射性核種という。また放射線を放出して変化する性質や放出する能力そのものを放射能という。
 天然に存在するものを天然放射性核種、加速器や原子炉での核反応を用いて人工的につくられたものを人工放射性核種という。放射性崩壊には、ヘリウム原子核すなわちα(アルファ)粒子を放出するα崩壊、電子または陽電子を放出するβ(ベータ)崩壊、電磁波すなわち光子を放出するγ(ガンマ)崩壊のほか、原子核の外を回っている電子を吸収したり、はじき飛ばしたりしておこる崩壊や、自発核分裂などがある。ふつう放射性核種は、これらの崩壊を繰り返しながら安定になるまで次々と変化していく。この過程でできる種々の放射性核種は、次々とおこる一連の崩壊系列をつくる。重い天然放射性核種の質量数Anを正整数とするとき、トリウム系列(A=4n)、ウラン系列(ウラン・ラジウム系列、A=4n+2)、アクチニウム系列(A=4n+3)の三つの放射性崩壊系列をつくっている。これらの系列のほかにも、天然放射性核種として、カリウム40やルビジウム87のような核種がある。宇宙線による核反応などでつくられているものを誘導天然放射性核種というが、このなかにはトリトンや炭素14などがある。半減期5730年の炭素14は、考古学の年代測定に利用されている。
 人工放射性核種は、1934年にジョリオ・キュリー夫妻により創られた。ポロニウム原子核から出るα粒子を種々の原子核にぶつけた実験である。その後、加速器や原子炉を用いて種々の核反応をおこさせることが可能となり、現在では実に多くの人工放射性核種がつくられるようになった。このなかにはネプツニウム系列(A=4n+1)とよばれる崩壊系列に属するものがある。高速の粒子を原子核に衝突させることによって、原子核から何個かの核子をはぎ取ったり、逆にくっつけたりすることができる。その結果、安定な核種と比べて中性子数が多すぎたり少なすぎたりするような新しい不安定原子核が生まれる。これが人工放射性核種となる。宇宙における星の誕生と進化や爆発においては大量の不安定原子核が生成されるので、それらの生成率や変化率を知ることは大変重要な鍵(かぎ)となる。すなわち、安定領域から遠く離れた新しい核種をつくり、その性質を研究することは、依然として原子核物理学の魅力ある課題であるだけでなく、星や宇宙の生成・進化のプロセスを解明するうえで不可欠の要素となっている。また、核爆発実験が行われると自然界にはない大量の放射性核種ができるので、それらの量を測定することにより実験を探知することができる。[坂東弘治・元場俊雄]

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世界大百科事典内の放射性核種の言及

【放射性元素】より

…これらを原子番号で分類すると約100種になり,これが元素であり,原子番号の等しい核種が同位体である。核種のうち安定なものを安定核種といい,約210種あるが,残りは不安定で,これを放射性核種といっている。放射性核種を含む元素が放射性元素である。…

※「放射性核種」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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