改訂新版 世界大百科事典 「キルタンサス」の意味・わかりやすい解説
キルタンサス
Cyrtanthus
観賞用に栽植されるヒガンバナ科の小型で半耐寒性の球根植物。学名はギリシア語のkyrtos(曲がった)とanthos(花)で,本属に多い花筒の曲がった花形に由来する。おもに南アフリカに,一部が熱帯アフリカに分布し,50種以上の種があり,いくつかの種が栽植される。キルタンサス・マッケニイC.mackenii Hook.f.は葉は水仙の細葉種状で,花は白桃色で芳香がある。草丈約30cm,春咲き,小球性。この種を交配親として,いくつかの雑種系統が育成されている。キルタンサス・ルテスケンスC.lutescens Herb.の花は淡黄色,キルタンサス・オブリエニイC.o’brieniiの花は赤色冬咲きで,どちらも前種に近縁の小球性で作りやすい種である。キルタンサス・サンギネウスC.sanguineus Hook.は夏咲きで大球性,花は赤色大輪である。切花,鉢物用として利用される。排水のよい肥沃な土を好み,耐寒性はあまりないので,冬季は温室内で栽培するとよい。冬季に0℃以上の温度だと,緑葉のままよく生育する。寒さのため葉が枯れた場合は灌水を控え,春,暖かくなってから灌水をすると花が続開する。
執筆者:川畑 寅三郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報