日本大百科全書(ニッポニカ) 「キワタノキ」の意味・わかりやすい解説
キワタノキ
きわたのき / 木綿木
[学] Bombax ceiba L.
Bombax malabaricum DC.
パンヤ科(APG分類:アオイ科)の落葉高木。インドワタノキともいう。インド、パキスタン、スリランカ、ミャンマー(ビルマ)の原産で、オーストラリアから中国まで分布する。高さ20~30メートル、基部に板根(ばんこん)を形成する。枝は水平に伸び、若い枝には鋭い刺(とげ)がある。葉は5~7小葉からなる掌状複葉。花は1、2月の落葉期に木を覆うように開き、紅(くれない)色の大形5弁花を単生し、多数の雄しべが突出する。果実は長楕円(ちょうだえん)形、径5センチメートル、長さ10~14センチメートル、黒色に熟して5裂し、綿毛に埋まった多数の種子を現す。種子を包む綿毛は詰め物として利用する。近縁種で、やはり種子を包む綿毛のあるカポックノキ(別名パンヤノキ)とともに英名をsilk cotton treeというので、両者はしばしば混同される。しかし、カポックノキの花は乳白色で房状に開くので区別される。また、キワタノキの綿毛はカポックノキのそれよりは劣る。材は家具そのほかに用い、パルプ原料、炭の原料にもなる。根や皮は薬用に、若木の葉や種子は食用に、また種子からは食用油をとり、その粕(かす)は葉や花とともに家畜の飼料となる。花を観賞するため庭園樹にもする。
[星川清親 2020年4月17日]