改訂新版 世界大百科事典 「キンクバンド」の意味・わかりやすい解説
キンクバンド
kink band
すべり面が局部的にシャープに折れ曲がり,格子方位が回転している帯状部分をいう。格子方位が屈曲する帯の境界(キンク境界)は,すべりが一つのすべり系によって起こる場合,すべり方向に垂直に発生する。バンド内における結晶回転の軸はすべり方向に垂直ですべり面上にある。変形作用はバンド内の結晶に集中する傾向がある。
岩石構造の場合
1組の著しいへき開構造をもつ岩石で,へき開面のシャープな屈曲で示される帯状部分をさす。結晶中のキンクバンドとの類似性から名付けられた。一般に共役的関係をもって高角度で交わる2組の剪断構造としての性格を示すが,キンク境界は圧縮応力の作用方向に対し45度より高角度で配列し,実験的に形成されたものでも天然のものでも,その多くは約60度の傾斜を示す。実験によれば,変形の進行に伴いキンクバンドの幅は増大する。共役的関係にあるキンクバンドの交線は,へき開面に平行な場合と斜交する場合がある。
執筆者:原 郁夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報