改訂新版 世界大百科事典 「ギマール」の意味・わかりやすい解説
ギマール
Hector Guimard
生没年:1867-1942
アール・ヌーボーを代表するフランスの建築家。リヨン生れ。中世建築の研究者ビオレ・ル・デュクらの強い影響の下に独自の世紀末建築のスタイルを創り出した。とりわけ鋳鉄を自在に変形させた,植物の形態を思わせるディテールが特徴的。作品には当時の新興ブルジョア層の住宅が多く,なかでもパリ16区の集合住宅カステル・ベランジェ(1898),リールのコアイヨー邸(1900),パリ郊外ビルモアッソンのカステル・オルジュバル(1905)などが特筆される。また,1900年に開通したパリのメトロ(地下鉄)の出入口部分のデザインを担当。ベル・エポックの象徴ともいうべきこのメトロ出入口は,現在もいくつか残存する。
執筆者:三宅 理一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報