日本大百科全書(ニッポニカ) 「ギンイチモンジセセリ」の意味・わかりやすい解説
ギンイチモンジセセリ
ぎんいちもんじせせり / 銀一文字挵蝶
[学] Leptalina unicolor
昆虫綱鱗翅(りんし)目セセリチョウ科に属するチョウ。北海道から九州にかけて分布するが、産地は限られており、どこにでもみられるチョウではない。外国では朝鮮半島、中国(北部)に分布し、東アジアの特産種。はねの開張は32ミリメートル内外。はねの形は細長く、また体も細く、きわめて特徴のある体形をしており、色彩も表面は黒一色、後ろばね裏面中央を走る銀白条があり、世界中をみてもこれに紛らわしいチョウは存在しない。和名のもとになった後ろばね裏面の銀白条は、春に羽化したものでは明瞭(めいりょう)であるが、夏のものは地色に近い色彩になって目だたない。北海道、東北地方や本州中部地方の高地帯などの寒冷地では年1回の発生(6~7月)で春型のみを生ずるが、関東地方の平地から九州にかけての暖地では年3回の発生(4月下旬~5月上旬、7月上旬~中旬、8月下旬~9月中旬)が常態である。前記の中間地帯では年2回の発生となる。幼虫の食草はススキ、チガヤ、アブラススキなど、幼虫は食草の葉を巻いてその中に潜んでいる。越冬態は幼虫である。
[白水 隆]