アブラススキ(英語表記)Eccoilopus cotulifer (Thunb.)A.Camus

改訂新版 世界大百科事典 「アブラススキ」の意味・わかりやすい解説

アブラススキ
Eccoilopus cotulifer (Thunb.)A.Camus

丘陵地や山地の林下に生える丈の高いイネ科多年草。茎はやや叢生(そうせい)して立ち,高さは120cmに達し,細く,油気を帯びたような光沢があるのでこの和名がついた。葉は幅広い線形で長く60cmに及び,根もとと茎の節にあり,根生の葉では葉身と葉鞘(ようしよう)の間に中脈が露出して葉柄状になっている。花序は長さ20~30cmの円錐状で,秋に茎の頂につき,糸状の細い枝や花序の先端は下垂して,長さ4cmくらいで,暗緑色の総状の分枝を出し,それに長さ6mmで,披針形の小穂をやや密につけ,小穂は対をなし,片方は短柄,他方には長い柄がある。アジアの温帯から亜熱帯に産し,インド北部,中国から日本では琉球諸島から北海道に至る全国に分布している。オオアブラススキSpodiopogon sibiricus Triniusは別属の1種で,山野日当りのよい草地に生え,花序は直立して分枝も垂れ下がらない。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アブラススキ」の意味・わかりやすい解説

アブラススキ
Eccoilopus cotulifer

イネ科の多年草。日本全土,アジア東部から南部に分布し,明るい林内に生える。根茎は短く,を密に出す。茎は直立し高さ 1.2mほどで分枝しない。土中の根ぎわに数個の鱗片葉があり,その上に長柄のある根出葉が出る。茎葉には長い葉鞘がある。花期は9~10月。円錐花序はやや点頭し,大型で長さ 20~30cmになる。主軸は各節から数本の柄を出し,その先に長さ3~5cmの花穂を下垂する。小穂はややまばらにつき緑色,ときに紫褐色,長さ約 5mmの披針形で白毛が生え,内花穎に長い芒 (のぎ) がある。和名は茎に油に似た光沢があることによる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アブラススキ」の意味・わかりやすい解説

アブラススキ
あぶらすすき / 油薄
[学] Eccoilopus cotulifer (Thunb.) A.Camus

イネ科(APG分類:イネ科)のやや大形の多年草。稈(かん)は株立ちして高さ0.8~1.2メートル。根出葉は短柄がある。9~10月、頂端に長さ20~30センチメートルの円錐(えんすい)状の花序をつけ、多数の下垂する枝が輪生状につく。小穂は長さ約6ミリメートル。対をなして花序の枝につき、2個の小花をもつ。包穎(ほうえい)の脈は顕著で、基部に短束毛があり、第1護穎(ごえい)から芒(のぎ)が出る。和名は、ススキに似るが油状の光沢をもつことによる。日本全土の日当りのよい丘陵地に生え、朝鮮、中国、インド北部にかけて分布する。

[許 建 昌 2019年8月20日]


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