クエン酸ナトリウム(読み)くえんさんなとりうむ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「クエン酸ナトリウム」の意味・わかりやすい解説

クエン酸ナトリウム
くえんさんなとりうむ

抗凝血剤。クエン酸塩が血液凝固の第Ⅳ因子であるカルシウムイオンと結合し、解離度の低いクエン酸カルシウムとなるため、血液凝固阻止作用を現す。無色結晶または白色の結晶性粉末で、においはなく清涼塩味を有する。10%水溶液は輸血用に、3.8%水溶液は赤血球沈降速度測定のために用いられる。このほか、保存血液および人血漿(けっしょう)用には本剤にクエン酸、リン酸二水素ナトリウム、ブドウ糖を配合したCPD液などが用いられている。

[幸保文治]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クエン酸ナトリウム」の意味・わかりやすい解説

クエン酸ナトリウム
クエンさんナトリウム
sodium citrate

無色あるいは白色の結晶性粉末で,無臭,清涼な塩味があり,カルシウムと不溶性の塩をつくる。これを利用して血液凝固に必要な血液中のカルシウムを捕え,抗凝固剤として用いる。血沈用の 3.8%溶液 (0.4ml取り,血液で総量 2.0mlとする) ,輸血用の 10%溶液 (8~14mlに対し血液で総量 200mlとする) として用いられる。輸血の場合は体内で希釈されるので問題はない。 1.5~10%では血液凝固を阻止するが,30%では反対に凝固作用を示す。

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栄養・生化学辞典 「クエン酸ナトリウム」の解説

クエン酸ナトリウム

 調味料として使われる食品添加物抗凝固薬にも使われる.

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世界大百科事典(旧版)内のクエン酸ナトリウムの言及

【クエン酸(枸櫞酸)】より

…たとえば,クエン酸銅Cu2(C6H4O7)はトラコーマまたは濾胞性結膜炎の軟膏として,クエン酸カリウムK3(C6H5O7)・H2Oは利尿薬としてそれぞれ使われている。
[クエン酸ナトリウムsodium citrate]
 化学式Na3(C6H5O7)・2H2O。水に可溶。…

【制酸薬】より

…制酸薬はその作用機序から吸収性制酸薬と局所性制酸薬に分類される。
[吸収性制酸薬]
 炭酸水素ナトリウム,クエン酸ナトリウム,酢酸ナトリウムなどがこれに属する。これらのアルカリ剤は,速効性であるが,胃酸を中和後に吸収されて血液のアルカリ予備を増大し,過量ではアルカロージスを起こす。…

※「クエン酸ナトリウム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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