日本大百科全書(ニッポニカ) 「クダクラゲ」の意味・わかりやすい解説
クダクラゲ
くだくらげ / 管水母
siphonophore
腔腸(こうちょう)動物門ヒドロ虫綱管クラゲ目に属する海産動物の総称。すべて海産、浮遊性で、付着性のポリプの世代はなく、そのため一般に外洋性で、海流や風で運ばれることが多い。体は多数の個体が集まって一つの群体を構成しているが、それら個体の間には顕著な多形現象がみられ、気胞体、泳鐘(えいしょう)、栄養体、生殖体、触手、感触体、葉状体など、さまざまな形の、また異なった機能のものがみられる。これらのうち、気胞体は中にガスを含み、群体の浮遊に役だっており、また泳鐘はもっとも普通のクラゲ形で、一般に遊泳の役をつかさどっている。また、栄養体は餌(えさ)をとって消化を行い、生殖体には精子、卵などが生じ、また感触体上には刺胞が多数存在している。群体の形はさまざまで、ヒトツクラゲのように簡単な形のものから、ヨウラククラゲやバレンクラゲのようにきわめて複雑な形のものまである。クダクラゲ類のうちカツオノエボシ(別名電気クラゲ)は世界の暖海に広く分布し、日本でも普通にみられるが、きわめて強い刺胞毒をもち、外国でも恐れられている種類。ギンカクラゲやカツオノカンムリなども普通の種類であるが、これらはそれら以外の種類とはかなり異なった特徴をもち、そのためクダクラゲ類からは外されることもある。
[山田真弓]