クテシビオス(読み)くてしびおす(その他表記)Ktēsibios

日本大百科全書(ニッポニカ) 「クテシビオス」の意味・わかりやすい解説

クテシビオス
くてしびおす
Ktēsibios

生没年不詳。紀元前2世紀前半のギリシアの独創的な機械技師。アレクサンドリアの人。フィロンPhilōn(前280?―前220?)、ヘロンとともにヘレニズム時代の三大機械学者といわれる。彼が発明したといわれるものに、水時計水オルガン、および圧縮空気を利用したポンプがあり、水時計は簡単な制御装置をもち、一定時間に一定量の水を出す仕掛けになっていたとみられる。

平田 寛]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「クテシビオス」の意味・わかりやすい解説

クテシビオス
Ktēsibios

前3世紀ないし前2世紀ころアレクサンドリアで活躍した機械技師。生没年不詳。この時代に出た機械技師のビュザンティオンのフィロンやアレクサンドリアのヘロンの先駆者であり,さらにローマ時代にいたるまでのあらゆる技術的活動の根源をなしている。彼の著作は失われているが,たぶん彼が発明したと思われるものとしては,まず水時計がある。これは,導管から流入する水の量がつねに一定(水圧が不変)であるようにくふうされた動針時計であった。なお,当時は不定時法だったので,季節によって時刻目盛は適当に調節した。つぎに,鍵盤のついた水オルガンは,水圧で管の中の空気が圧縮されて音が出る原理を応用したものである。さらに彼の押上げポンプは,2本のピストン上下によって水が放出するしかけであった。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android