クライン=仁科の式(読み)クライン=にしなのしき(英語表記)Klein-Nishina's formula

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クライン=仁科の式」の意味・わかりやすい解説

クライン=仁科の式
クライン=にしなのしき
Klein-Nishina's formula

自由電子による電磁波 (X線,γ線) の散乱 (コンプトン散乱 ) で,その散乱断面積を与える公式。 1928年 O.クライン仁科芳雄ディラック方程式を用いて相対論的に計算したもの。この結果を図に示すが,実験ときわめてよく一致する。 θ は入射光子の進路と散乱光子の進路の間の角,I0 は入射光子の強度I は θ 方向での散乱波の強度である。また,ν は入射光子の振動数,m は電子の質量hプランク定数c は真空中の光速度である。陽電子の発見以前,クライン=仁科の式はディラックの電子論に対する最も重要な実験的検証であった。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

法則の辞典 「クライン=仁科の式」の解説

クライン‐仁科の式【Klein-Nishina's formula】

分極していない電磁輻射と電子とのコンプトン散乱断面積を与える公式.立体角 dΩ 中への散乱断面積 dσe は次のようになる.ここで Ep は入射光子のエネルギーEp′ は散乱光子のエネルギー,r0 は電子の古典的半径,θ は散乱角である.

出典 朝倉書店法則の辞典について 情報

今日のキーワード

大臣政務官

各省の長である大臣,および内閣官房長官,特命大臣を助け,特定の政策や企画に参画し,政務を処理する国家公務員法上の特別職。政務官ともいう。2001年1月の中央省庁再編により政務次官が廃止されたのに伴い,...

大臣政務官の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android