仁科(読み)ニシナ

日本歴史地名大系 「仁科」の解説

仁科
にしな

仁科の「科」は、段丘とか丘がかった地形をさしており、信濃しなの更級さらしな前科さきしな正科しようじな明科あかしな埴科はにしななど皆これから出ている。仁科の「」は「」と同義語で、丹色すなわち赤味を帯びた土、粘土質の土壌のことである。この考えに立てば、中山なかやま山地を中心としてその山麓地方の河岸段丘はまさに仁科の名にふさわしい。

「仁科」の語の初見は平安時代末期の治承三年(一一七九)一一月二八日付の現北安曇きたあずみ八坂やさか大平藤尾の覚音おおだいらふじおのかくおん寺の木造千手観音立像造像銘として、同観音の頭部形部に「仁科」と墨書されているのが最古である。この仁科は大施主仁科盛家の「仁科」であるとともに、仁科御厨の「仁科」でもあり、現大町市大字やしろの河岸段丘を仁科と称したのが始原と考えられる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「仁科」の意味・わかりやすい解説

仁科
にしな

静岡県東部,伊豆半島西海岸にある西伊豆町集落。旧村名。 1956年田子村と合体して西伊豆町となる。平安時代鎌倉時代は西奈荘と呼ばれ,仁科川流域の中心地。北部の田子地区とともに漁業生業の中心であったが,温泉の開発に伴い,堂ヶ島海岸や洋らんセンターを含む西伊豆の観光拠点として発展富士箱根伊豆国立公園に属する。

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