日本大百科全書(ニッポニカ) 「クラカケトラギス」の意味・わかりやすい解説
クラカケトラギス
くらかけとらぎす / 鞍掛虎鱚
saddled weever
[学] Parapercis sexfasciata
硬骨魚綱スズキ目トラギス科に属する海水魚。岩手県以南の太平洋岸と青森県以南の日本海岸、朝鮮半島南岸、東シナ海、ジャワ島南部まで分布する。一般にオキハゼ、トラハゼなどとよばれるがハゼの仲間ではない。体は円筒状である。目は大きくて斜め上方に向く。背びれ棘(きょく)部基底は短く、背びれ軟条部と臀(しり)びれの基底は長い。背びれ棘部と軟条部は連続する。体は背側部が赤褐色で、腹側面は白い。体側に4個のV字状の暗色斑(はん)と胸びれの基底部と目を横切る暗色帯がある。小形甲殻類、ゴカイ類、ハゼなどの小形魚類を捕食する。体長は13センチメートルほどに達する。産卵期は2~6月と10~11月の2回ある。機船底引網などで漁獲され、おもに練り製品の原料として利用されるが、てんぷら、塩焼きなどにしてもおいしい。釣りの外道(げどう)(ねらっているもの以外の魚が釣れてしまうこと)としてよく知られている。
[尼岡邦夫 2016年8月19日]