ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クレメンス6世」の意味・わかりやすい解説
クレメンス6世
クレメンスろくせい
Clemens VI
[没]1352.12.6. アビニョン
フランス出身の第198代教皇(在位 1342~52)。本名 Pierre Roger。4人目のアビニョン教皇(→教皇のバビロン捕囚)。ベネディクト会の修道院長,サンスやルーアンの大司教を経て,1338年に枢機卿(→カーディナル)に任命され,1342年5月にアビニョンで教皇に登位した。オスマン帝国に対する十字軍派遣を最優先と考え,1344年にスミルナを制圧,地中海東部を荒らす海賊を平定した。ナポリ王国の女王ジョバンナ1世に夫殺害の容疑がかかると,罪に問わない代わりにプロバンスを手放させ買い取った。1347年,ローマ市民の代表コラ・ディ・リエンツォが始めた政治改革を当初は支援したが,のちにこれを破門した。教皇庁宮殿を増築して芸術家や学者を庇護するなど,世俗の王のようにふるまい,清貧を守るフランシスコ修道会の厳格主義派と対立した。しかし 1348~50年にペスト(→黒死病)が猛威をふるった際には,その原因と決めつけられたユダヤ人たちをアビニョンに受け入れ保護した。
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