さんす(読み)サンス

デジタル大辞泉 「さんす」の意味・読み・例文・類語

さんす[助動]

[助動][さんせ・さんしょさんし|さんす・さんする|さんす・さんする|さんすれ|さんせ]《動詞「さんす」の助動詞化》動詞の上一段・下一段・上二段・下二段活用の未然形に付き、カ変動詞には連用形にも付く。丁寧の意を含んだ尊敬を表す。…なさいます。
「絹の下帯かいてゐさんす」〈浮・一代女・二〉
[補説]近世前期、上方の遊女の用いた語で、元禄(1688~1704)ごろからは一般の女性も用いるようになった。→しゃんす

さん・す[動]

[動サ特活]《動詞「さしゃんす」の音変化》「する」の丁寧の意を含んだ尊敬語。なさいます。
「せんかたなさに怖い事など―・せぬか」〈浄・女腹切
[補説]活用は助動詞「さんす」に同じ。

サンス(Sens)

フランス中北部、ヨンヌ県の都市。同県の副県都。ヨンヌ川沿いに位置し、古代ローマ時代から鉱泉のある保養地として知られる。ゴシック様式最古の教会の一、サンテチエンヌ大聖堂がある。

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精選版 日本国語大辞典 「さんす」の意味・読み・例文・類語

さんす

  1. 〘 助動詞 〙 ( 活用は、「さんせ・さんし・さんす(さんする)・さんす(さんする)・さんすれ・さんせ」 ) 聞き手に対する尊敬の意の加わった、動作をするものに対する尊敬を表わす。対称の動作に使用すると、かなり高い尊敬を表わし、他称の動作に使用すると、他称への尊敬と話相手に対する尊敬とが表わされることになる。お…なさいます。
  2. ( 助動詞「さしゃんす」の変化したもの ) 上一段・上二段・下一段・下二段活用の未然形とカ変の連用形(まれに未然形)に付く。→語誌( 2 )
    1. [初出の実例]「又来さんしたか。早う往なんしなどいへば」(出典:仮名草子・浮世物語(1665頃)一)
    2. 「コレ見さんせ、わたしが心底は此通りでござんすと肩をぬげば」(出典:洒落本・聖遊廓(1757))
  3. ( 助動詞「しゃんす」の変化したもの ) 四段・ナ変の未然形に付く。
    1. [初出の実例]「花のあしたには、いなさんすかの言葉をわすれかねて、たもとを春雨の露にびたつき」(出典:評判記・難波物語(1655))
    2. 「うら向よりすだれあげ、はいらんせ、はいらさんせと呼込こゑもかしましく」(出典:浮世草子・風流夢浮橋(1703)三)

さんすの語誌

( 1 )発生当初は遊女ことばであったが、元祿(一六八八‐一七〇四)頃には、一般女性も使用するようになり、江戸中期には、床屋・関取・侠客などの特殊な男性も使用し、さらに一般化していった。
( 2 )一音の一段活用動詞に接続する時は、「やさんす」となることがある。「まあ其処へ寝やさんせ」〔歌舞伎・吉祥天女安産玉‐二〕など。


さん・す

  1. 〘 他動詞 サ行特活 〙 ( 活用は助動詞「さんす」に同じ。助動詞「さんす」がサ変に接続した「せさんす」の意に用いた語。ただし、「せさんす」の形は見られない ) 「する」の意の尊敬の意に丁寧の意の加わった語。なさいます。
    1. [初出の実例]「まことならば、ねびきにさんしたがよふござる」(出典:評判記・難波鉦(1680)一)

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改訂新版 世界大百科事典 「さんす」の意味・わかりやすい解説

サンス
Sens

フランス中部,ヨンヌ県の都市。人口2万6602(1982)。金庫製造,なめし革業,電気材料製造などが行われる。ガロ・ロマン時代には北方蛮族に対する要塞都市で,浴場,円形劇場などの建設がみられた。3世紀にキリスト教が導入されるとともに司教座,さらには北フランスの首都大司教座となる(1622年まで)。この間数々の宗教会議が開かれ,特に1140年の会議はアベラールの著作の禁書宣告で有名である。1130年に起工されたサンテティエンヌ大聖堂は,パリ郊外のサン・ドニ修道院と共にゴシック様式創造へ第一歩を踏み出した建築として知られる。また12世紀末に建造された大聖堂西正面中央柱の聖ステファヌス(サンテティエンヌ)像は,13世紀ゴシック彫刻の先駆をなす。大聖堂宝物館には15~16世紀のタピスリー象牙細工などが保管されている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「さんす」の意味・わかりやすい解説

サンス
さんす
Sens

フランス中北部、ヨンヌ県の副県都。パリの南東110キロメートル、ヨンヌ川沿いにある。人口2万6904(1999)。ほぼ12世紀にさかのぼるサンテティエンヌ大聖堂や、中世および古代文化の遺物が豊富な博物館など、初期ゴシック様式とルネサンス期の建築物がみられる。農業機械鉄道車両れんがビスケットを生産。青銅の鋳造場もある。古くからの都市で、古代にはローマの属領ガリアのもっとも重要な都市の一つであり、アゲディンクムAgedincumとよばれた。

[大嶽幸彦]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「さんす」の意味・わかりやすい解説

サンス
Sens

フランス中部,ヨンヌ県北部の町。パリ-リヨン間の交通の要衝。旧市街はシャンパーニュ地方のヨンヌ川右岸にあり,ガロ・ローマ時代の城壁跡が道路となって周囲を取巻いている。聖エティエンヌ大聖堂 (12~16世紀) はイギリスのカンタベリー大聖堂の原型として知られる。左岸には駅と工業地区があって,金属・電気・プラスチック・薬品・酪農製品工業が盛んである。人口2万 7755 (1990) 。

サンス
Sanz, Gaspar

[生]1640. アラゴン,カランダ
[没]1710. マドリード
スペインのギタリスト,オルガニスト。サラマンカで学び,ナポリ副王の宮廷オルガニストに就任。スペインに帰国後,アウストリア公ドン・フアンのギターの教師となる。すぐれたギター曲が多い。

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