クレーブクール(英語表記)Crèvecœur,Michel-Guillaume-Jean de

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クレーブクール」の意味・わかりやすい解説

クレーブクール
Crèvecœur,Michel-Guillaume-Jean de

[生]1735.1.31. ノルマンディーカン
[没]1813.11.12. パリ近郊サルセル
フランス生れのアメリカの著述家。 1759年カナダを経てアメリカへ移住し,65年ニューヨーク州農場を得て落ち着いたが,独立戦争が起ると一時ヨーロッパに帰り,ロンドンで『アメリカの農夫からの手紙』 Letters from an American Farmer (1782) を J. Hector St. Johnの筆名で出版。アメリカ人の特質に鮮かな照明をあてて大きな反響を呼び,先駆的なアメリカ文化論として重視される。 83年にフランス領事として再び渡米,ニューヨークに住んだが,健康を害してフランスに戻り,3度目の渡米を果したのちヨーロッパに帰って生涯を閉じた。ほかに『高地ペンシルバニアとニューヨーク州の旅』 Le Voyage dans la Haute Pennsylvanie et dans l'État de New York (1801) があり,『18世紀アメリカ素描-続アメリカの農夫からの手紙』 Sketches of Eighteenth Century America,or More Letters from an American Farmer (1925刊) はフランスで発見された未発表原稿をまとめたもの。

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改訂新版 世界大百科事典 「クレーブクール」の意味・わかりやすい解説

クレーブクール
Michel-Guillaume Jean de Crèvecœur
生没年:1735-1813

アメリカの随筆家。フランスのノルマンディーの小貴族の子に生まれ,青年時代カナダに渡って,英仏の植民地抗争に加わったが,その後ニューヨーク植民地に移り,1765年市民権を取るとともに,アメリカ女性と結婚,買い求めた農園で,平和で牧歌的農耕生活を始めた。そうした自分の体験と見聞を基に《アメリカ農民の手紙》(1782)を書き,そこで〈アメリカ人,この新しい人間は何者か?〉という有名な問いを発し,新しい環境で新しい理念と社会制度に生きる〈新しい人間〉というアメリカ人像を主張することによって,この後繰り返し書かれるアメリカ論の原点となった。78年,独立革命の混乱のさなか,王党派を支持した彼はヨーロッパに戻り,彼の〈アメリカの夢〉はいったん破れることになるが,独立後は再びフランス領事として渡米し,米仏両国の友好関係の発展に尽力した。
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