改訂新版 世界大百科事典 「クロザル」の意味・わかりやすい解説
クロザル
Macaca niger
セレベス島の北部とその付近の小島に生息する霊長目オナガザル科の旧世界ザル。全身真っ黒か黒褐色。頭胴長は雄で約65cm,雌で約55cm。体重は雄で約11kg,雌で約6kg。尾は1~2cmと短い。眼窩(がんか)上とほおに著しい隆起が認められる。おとなの雄は頭上部によく発達した毛の房をもつ。顔の特徴がヒヒ属Papioに似ていることからマカック属から区別され,独立したクロザル属Cynopithecusに分類されたこともあるが,現在ではマカック属に含められることが多い。性周期は31日,妊娠期間は155~175日。密生した熱帯多雨林にすみ,主として樹上で生活する。果実,木の葉,木の芽などの植物性食物のほかに,昆虫,貝類,カニ,鳥の卵などの動物性食物も食べる雑食性。5~25頭の群れをつくるが,ふつう一つの群れにはおとなの雄は1頭しかいない。一時的にいくつかの群れが集まって,100頭を超す集団を形成することがあるといわれている。
執筆者:古市 剛史
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報