クローン病の現状

六訂版 家庭医学大全科 「クローン病の現状」の解説

クローン病の現状
(食道・胃・腸の病気)

 クローン病は、1932年に米国の医師クローンによって最初に報告された、小腸大腸慢性炎症潰瘍ができる病気です。北米やヨーロッパに多い疾患ですが、日本でも増加傾向にあり、2007年の登録患者数は約2万7000人となっています。20歳前後の若年で発症することが多く、緩解(かんかい)再燃を繰り返します。根本的な治療法はありませんが、多くの場合、緩解状態に導入しこれを維持することが可能です。

 クローン病の治療は、腸管に起こっている炎症を抑え、症状の軽減を図り、栄養状態を改善させるための薬物療法と栄養療法が中心となります。経鼻チューブを自己挿入し、夜間就寝中に成分栄養剤を注入する在宅経腸栄養療法を行うこともあります。

 狭窄、穿孔(せんこう)などを生じた場合は手術が必要になりますが、術後再発などの問題があり、最近ではできるだけ内科的な治療を続け、手術が必要な時もなるべく小範囲の切除や狭窄形成術にとどめるのがよいと考えられています。

 抗TNF­α抗体製剤(レミケード)はクローン病の炎症と深く関わっているTNF­αという炎症伝達物質(サイトカイン)と結合し、その作用を阻害する新しいタイプの薬剤で、強い炎症が続く場合や、とくに難治性の瘻孔(ろうこう)がある場合に用いられます。アザチオプリン(イムラン)などの免疫調節薬がしばしば併用されます。

 主治医と相談し、病状に合わせた適切な治療を選択することが大切です。

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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