デジタル大辞泉
「クローン病」の意味・読み・例文・類語
クローン‐びょう〔‐ビヤウ〕【クローン病】
消化管の粘膜に潰瘍ができ、消化管壁の全層が冒されて肉芽腫が形成される病気。原因は不明。米国の内科医クローン(B.B.Crohn)が最初に報告した。
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クローン‐びょう‥ビャウ【クローン病】
- 〘 名詞 〙 ( [英語] Crohn disease の訳語 ) 主として若い成人にみられる原因不明の疾患。線維化と潰瘍形成を伴う肉芽腫性炎症からなり、消化管のあらゆる部位を冒し、特に肛門部病変が高率にみられる。臨床症状は、発熱、疼痛性腹痛、腫瘤形成など。最初の報告者であるアメリカの医師B=B=クローンの名にちなむ。
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家庭医学館
「クローン病」の解説
くろーんびょう【クローン病 Crohn Disease】
[どんな病気か]
1932年に、アメリカのクローン博士らによって初めて報告されたためにこの名があります。口腔(こうくう)から肛門(こうもん)までの全消化管をおかす炎症性疾患で、ある種の肉芽腫(にくげしゅ)(病変の盛り上がり)ができるのが特徴です。
おもに10歳代後半から20歳代の若年層にみられ、消化管のあらゆる部分に潰瘍(かいよう)ができ、腹痛や下痢(げり)、血便をともないます。発症には環境因子、食生活が深くかかわっており、動物性たんぱく質や脂肪を多くとるとかかりやすくなると考えられています。
日本人の有病率は人口10万人あたり約8人で、欧米に比べて少ないのですが、最近患者数が急増しています。これは食生活の欧米化で、脂肪摂取量が増加したことと診断方法が進歩したことによると考えられています。
[原因]
遺伝的な要因が関与するという説、結核菌(けっかくきん)に類似した細菌や麻疹(ましん)ウイルスの感染によるという説、食物の成分が腸管粘膜(ちょうかんねんまく)に異常をひきおこすという説などがありますが、いずれもはっきり証明されていません。
最近では、ある種のリンパ球など、免疫(めんえき)を担う細胞の反応異常が明らかにされ、食物成分や異物、病原体などの外来抗原(こうげん)の侵入に対する免疫系の反応異常が原因ではないかとされています。
[症状]
症状は多彩で、各症例によって異なります。また、おかされる部位により、小腸(しょうちょう)型(約45%)、小腸・大腸(だいちょう)型(約34%)、大腸型(約13%)と分類されています。
もっとも特徴的な症状は腹痛と下痢で、症例の半数以上にみられます。さらに発熱、下血(げけつ)、腹部腫瘤(しゅりゅう)、吸収障害にともなう体重減少、全身倦怠感(けんたいかん)、貧血(ひんけつ)などもしばしばみられます。痔瘻(じろう)などの肛門病変もよくおこります。関節炎、虹彩炎(こうさいえん)、結節性紅斑(けっせつせいこうはん)などの全身的合併症や、内瘻(ないろう)、外瘻(がいろう)、狭窄(きょうさく)などの消化管の局所合併症もあります。
[検査と診断]
診断は、病歴の聴取や一般的な血液、糞便(ふんべん)検査、小腸を含むX線検査(造影検査)、内視鏡検査をふまえて行なわれます。血液検査では血沈(けっちん)、CRP(C反応たんぱく質)などの炎症反応、貧血の程度や栄養状態などが調べられます。
糞便検査では、ヒトヘモグロビンに対する免疫反応(めんえきはんのう)を利用して、便の中の微量の出血が調べられ、培養検査で細菌性腸炎との鑑別が行なわれます。
注腸X線検査ではバリウムと空気を大腸に注入してX線撮影を行ない、粘膜の状態、潰瘍、狭窄、瘻孔(ろうこう)の有無、病変の広がりなどを調べます。小腸X線検査はバリウムを小腸まで送ってX線撮影し、小腸の病変を調べます。
内視鏡検査は肛門から大腸内視鏡を挿入し、盲腸(もうちょう)あるいは終末回腸までを観察し、病変とともに病理診断のための生検を行ないます。さらに、食道や胃の病変を調べるため、胃内視鏡検査が行なわれることもあります。
これらの検査をして、縦走する潰瘍、敷石のような像、非乾酪性類上皮細胞肉芽腫(ひかんらくせいるいじょうひさいぼうにくげしゅ)という特殊な肉芽腫が見つかれば診断が確定します。
[治療]
原因不明のため、根本的な治療はありませんが、病態を正しく把握して治療することで、寛解(かんかい)(病状の緩和状態)にいたり、その維持が可能になりつつあります。
基本方針は、腸管の炎症を抑えて症状の軽減をはかり、栄養状態を改善させることで、栄養療法と薬物療法を組み合わせた内科的治療が主体です。
●栄養療法
栄養障害の改善、腸管の安静、抗原刺激となるたんぱく質と脂肪に腸管がさらされないようにすることを目的とします。経腸栄養法(成分栄養法)と中心静脈栄養法(完全静脈栄養)とに大別されます(コラム「クローン病の栄養療法」)。
病状が寛解したら薬物療法に加えて低残渣(ざんさ)・低脂肪食を開始し、徐々に食事量を増やします。退院後も家庭で成分栄養療法を行ない、再燃を予防します。
●薬物療法
腸管局所の炎症を抑える抗炎症薬と、免疫系の異常反応を是正するための免疫抑制薬の併用が一般的です。止痢薬や鎮痙薬(ちんけいやく)、安定薬なども補助的に用いられます。
抗炎症薬のサラゾスルファピリジン(サラゾピリン)は大腸の腸内細菌によって5‐ASAとスルファピリジンに分解されます。5‐ASAは腸管内で局所的に作用し炎症を抑える有効成分ですが、スルファピリジンは消化器症状や過敏症などの副作用をおこすことがあると考えられています。
サラゾピリンは小腸型クローン病では効果が期待できませんが、最近開発された腸溶(ちょうよう)5‐ASA徐放剤(じょほうざい)(メサラジン)は、小腸型、小腸・大腸型クローン病への効果が認められています。
副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモン(ステロイド)も、強力な抗炎症作用があり、有効です。小腸病変に対する栄養療法と併用したり、炎症の強い例などに用いられます。
最近は全身への影響が少ない新しい種類のステロイドも開発されていますが、日本ではまだ市販されていません。難治例ではアザチオプリンや6‐MPという免疫抑制薬も使われます。
●手術療法
強度の狭窄(きょうさく)や瘻孔(ろうこう)があったり肛門部に病変がある場合が手術対象となります。以前は広範囲な腸切除が行なわれましたが、再発率が高いため、現在では切除範囲をできるだけ小さくするか、切除しない狭窄形成術などが主流になっています。さらに、腹腔鏡(ふくくうきょう)を用いた侵襲(しんしゅう)(身体的負担)の少ない手術法も普及し始めています。
治療予後(経過)には大きな個人差があります。大多数はある程度社会生活を再開できるようになりますが、慢性化して何度も再燃する例もあります。
[日常生活の注意]
食事は低脂肪、低残渣食とし、消化吸収のよいものをとります。香辛料(こうしんりょう)や炭酸飲料、アルコール類はなるべく避けましょう。人によっては食べても問題ないものも多いため、それぞれに合った食物を見つけてゆくことが大事です。喫煙はしばしばクローン病を悪化させるので厳禁です。
また、ストレスや疲労も症状悪化の誘因になります。十分な休養と睡眠をとりましょう。
なお、寛解期に妊娠した場合、正常産がもっとも多く、流産や先天性形態異常の発生率は健康人と変わりありませんから心配いりません。
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クローン病
クローンびょう
Crohn's disease
(食道・胃・腸の病気)
小腸、大腸を中心とする消化管に炎症を起こし、びらんや潰瘍を生じる慢性の疾患です。症状は、腹痛、下痢、下血、体重減少、発熱などです。20代に最も多く発症しますが、ほかの年代にもみられます。欧米に多く、日本では比較的少ない疾患ですが、最近患者数が増えています。潰瘍性大腸炎と似ている点も多く、2つをまとめて炎症性腸疾患と呼びます。
遺伝的要因とそれに基づく腸管での異常な免疫反応のためとされていますが、解明されていません。食生活の欧米化によって患者数が増えているといわれ、食物中の物質や微生物が抗原となって異常反応を引き起こすことが、原因のひとつと考えられています。
下痢、腹痛、発熱、体重減少、全身倦怠感がよくみられます。血便はあまりはっきりしないこともあり、下痢や下血が軽度の場合、なかなか診断がつかないことがあります。口腔粘膜にアフタ(有痛性小円形潰瘍)や小潰瘍がみられたり、痔、とくに痔瘻や肛門周囲膿瘍(のうよう)といわれる難治性の肛門疾患を合併したりすることがあります。
また消化管以外の症状として、関節炎、皮膚症状(結節性紅斑、壊疽性膿皮症など)、眼症状(ぶどう膜炎など)を合併することがあります。
潰瘍性大腸炎と異なり、炎症は口腔から肛門までの消化管全体に起こりえますが、最も病変が生じやすいのは回盲部(小腸と大腸のつながるところ)付近です。病変が小腸のみにある小腸型、大腸のみにある大腸型、両方にある小腸大腸型に分類されます。
クローン病の病変は、非連続性といわれ、正常粘膜のなかに潰瘍やびらんがとびとびにみられます。また、縦走潰瘍(消化管の縦方向に沿ってできる細長い潰瘍)が特徴的で、組織を顕微鏡で見ると非乾酪性類上皮細胞肉芽腫といわれる特殊な構造がみられます。大腸内視鏡検査、小腸造影検査、上部消化管内視鏡検査などを行い、このような病変が認められれば診断がつきます。血液検査では炎症反応上昇や貧血、低栄養状態がみられます。
薬物療法として、5アミノサリチル酸製剤(サラゾピリン、ペンタサ)、ステロイド薬を使用します。食べ物が原因のひとつとして考えられているため、栄養療法も重要で、最も重症の時には絶食と中心静脈栄養が必要です。少しよくなってきたら、成分栄養剤(エレンタール)という脂肪や蛋白質を含まない流動食を開始します。成分栄養剤は栄養状態改善のためにも有効です。
炎症が改善し普通食に近いものが食べられるようになっても、脂肪のとりすぎや食物繊維の多い食品は避けます。腸に狭窄や瘻孔(腸管と腸管、腸管と皮膚などがつながって内容物がもれ出てしまう)を生じたり、腸閉塞、穿孔、膿瘍などを合併したりした場合、手術が必要となることがあります。
インフリキシマブ(レミケード)は、抗TNFα抗体製剤といわれる薬剤で、高い活動性が続く場合や瘻孔を合併している場合にとくに有効です。アザチオプリン(イムラン)などの免疫調節薬も使用することがあります。
長期にわたって慢性に経過する病気であり、治療を中断しないことが大切です。治療の一部として日常の食事制限が必要なことが多く、自己管理と周囲の人たちの理解が必要です。症状が安定している時には通常の社会生活が可能です。
厚生労働省の特定疾患に指定されており、申請すると医療費の補助が受けられます。
日比 紀文, 高木 英恵
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報
クローン病
くろーんびょう
1932年にニューヨークの医師クローンBurrill Bernard Crohn(1884―1983)らによって初めて報告された亜急性または慢性の限局性腸炎をいう。その後の多数の症例検討によってこの病気は、小腸と大腸がつながっている回盲部に多くみられるが、口腔(こうくう)から肛門(こうもん)に至る消化管のどの部分にもおこるものであり、しばしば腸管を広範に侵し、きわめて難治であることがわかった。今日なお原因不明である。男性にやや多く、20歳代の若い人に好発するが、小児や高齢者の発病もないわけではない。日本では1973年(昭和48)ころから目だって症例報告が増え、1976年から厚生省(現厚生労働省)の特定疾患(難病)に指定され、2006年(平成18)末までに約2万5700人が登録されている。
微熱、下痢、腹痛で始まることが多いが、無症状となる緩解とふたたび悪化する再燃とを慢性的に繰り返す。小腸に広範な病変がある場合には吸収不良や長期の下痢によって栄養不良となり、体重が減少し、小児では身長の伸びが止まる。診断には腸のX線検査、腸のファイバースコープ検査とそれによる生検組織の所見などで総合的に行われるが、ときに腸結核との鑑別がむずかしいことがある。腸が破れる穿孔(せんこう)や腸が詰まる腸閉塞(へいそく)をおこして手術する例もあるが、再発が多く、内科的治療が原則とされている。内科的治療は栄養療法と薬物療法が組み合わされて行われ、栄養療法には経腸栄養と完全中心静脈栄養がある。薬物療法はおもに5‐アミノサリチル酸製剤や副腎皮質ステロイド、6‐メルカプトプリン、アザチオプリンなどの免疫抑制剤が用いられ、症状が重い場合、抗TNF‐α(アルファ)抗体が使用されることもある。
[吉田 豊]
『福田能啓編『クローン病ってこんな病気』(2005・診断と治療社)』▽『ジェームズ・スカラ著、福島恒男監訳『潰瘍性大腸炎・クローン病の食事療法――自分の体に合った食生活で難病をコントロール』(2007・メディカ出版)』▽『ジョアン・ゴメス著、前島真理訳『クローン病――増えつづける現代の難病』(2007・藤原書店)』
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食の医学館
「クローン病」の解説
くろーんびょう【クローン病】
《どんな病気か?》
若い人に多い原因不明の炎症性腸疾患。小腸と大腸に潰瘍(かいよう)ができるのが特徴です。おもな症状は、腹痛や下痢(げり)、粘血便、発熱、痔(じ)、吸収障害による体重減少、貧血など。日本では、1980年代後半から目立ちはじめ、患者数がふえつづけています。
《関連する食品》
〈低脂肪で消化のよいものを〉
○栄養成分としての働きから
クローン病の人の食事は、下痢による栄養障害を改善し、腸を安静に保つことが基本です。腸を刺激するたんぱく質と脂肪の過剰摂取は避け、低脂肪で消化のよいものをよくかんで食べるようにします。
野菜、くだもの、豆などの皮や海藻といった消化の悪いもの、脂身(あぶらみ)の多い牛や豚の肉などはなるべく避けるようにします。また、脂肪酸のうちのアラキドン酸がクローン病を悪化させるという説もあるため、アラキドン酸や、体内でアラキドン酸を合成するリノール酸のとりすぎも避けます。アラキドン酸はレバーやたまごに、リノール酸はベニバナ油や菜種油に多く含まれています。
逆に、脂肪酸のなかでも魚類に含まれるIPA(イコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)には炎症を抑える作用があり、クローン病にも有効といわれているので、適度にとりましょう。
IPAはハマチ(とくに養殖)、キンキ、イワシ、サバなどに、DHAはマグロ、タイ(とくに養殖)、ブリ、サバなどに多く含まれています。
○注意すべきこと
カフェインの多いコーヒーやお茶、アルコール、香辛料など、刺激の強いものはひかえましょう。
料理もなるべく胃に負担をかけない調理法にしましょう。
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クローン病 (クローンびょう)
Crohn disease
1932年にアメリカのクローンB.B.Crohnらが限局性腸炎(または終末回腸炎)として報告した疾患。その後,消化管のあらゆる部位に出現することが判明。小腸,大腸,ときには両者に発生することが多い。原因不明。腸壁全層にわたる炎症で,肉芽腫と呼ばれる細胞の団塊状集族反応を伴う。不連続のさまざまな潰瘍ができるが,腸管軸方向に長いことが多く,周辺は玉石を敷きつめたような凹凸を示す。潰瘍底には深いきれこみを伴うことがあり,近隣の腸管や体壁と交通路を形成することがある。日本ではまれな病気であったが増加の傾向にある。若年者に多い。長期にわたりくり返す下痢,腹痛,微熱が続き,体重減少を伴い,肛門周囲に炎症を合併することもある。X線,内視鏡で検査することにより診断できるが,病型がさまざまで他の病気と区別することは容易ではない。入院して安静にし,食餌療法,薬物で治療するが,難治性であり,手術による病変部の切除が有効。
執筆者:酒井 義浩
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
クローン病【クローンびょう】
消化管の粘膜に起こる,原因不明の炎症性疾患で,厚生省により難病に指定。炎症部位は潰瘍(かいよう)を生じ,腸壁やリンパ節組織に肉芽腫(にくがしゅ)を形成する。また,瘻孔(ろうこう)があいて周囲の臓器とつながったり,離れた部位に病変が転じる特徴がある。若年層に多く,腹痛と下痢が主症状。重症の場合は,絶食のうえ点滴による輸液で腸の負担を軽くし,副腎皮質ホルモン剤や抗菌作用薬を投与。腸閉塞や腫瘍(しゅよう),穿孔(せんこう)をきたした場合は手術により切除。
→関連項目希少疾病用医薬品|痔瘻
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
クローン病
クローンびょう
Crohn disease
限局性回腸炎ともいう。潰瘍性大腸炎とともに原因不明の腸炎の代表的なもの。厚生労働省の難病対策特定疾患に指定されている。おもに小腸と大腸に潰瘍や肉芽腫を形成する腸炎で,アメリカの医師 B.クローン (1884~?) が 1932年に初めて報告したときは回腸に限局するとされ,回腸末端炎と名づけられたが,その後,回腸にかぎらず口腔から肛門までの消化器のどの部位にも起る非特異的慢性炎症性腸疾患であることがわかった。症状は慢性下痢,腹痛などで始まり,肛門の周囲に潰瘍や瘻孔を合併し,腹部にしこりを触れ,発熱,貧血,関節炎,肝障害などの全身的症状も起る。急性虫垂炎と間違えられて手術されることがよくあるので,X線やファイバスコープの検査で確認し,また病理学的に肉芽腫を証明することも必要である。欧米には比較的多いが日本ではまれな疾患。再発を繰返し,長期の治療が必要になるが,この病気で死亡することはめったにない。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
クローン病
消化管が炎症を起こし深い潰瘍などを形成する原因不明の慢性病変。厚生労働省により特定疾患(難病)に指定されている。1932年、米国の内科医ブリル・バーナード・クローンらによって発表された。小腸から回腸間に発生することが多いが、口腔から肛門までの消化管のあらゆる部位に発生しうる。症状は、発症部位や進行度合いにより、口腔内潰瘍、腹痛、下痢、発熱、栄養不良、肛門病変、肛門病変など多伎にわたる。発症年齢は10歳~30歳の若年者がほとんどで、中高年での発症はまずない。日本での罹患者数は年々増加しており2000年に2万人を超えたが、欧米先進国の患者数と比べると圧倒的に少ない。治療法は栄養療法、薬物療法を中心とした内科的治療が一般的である。完全治癒は困難で、症状をいかに落ち着かせ長期間安定させるかが目的となる。直接的に生命にかかわることは少ない。
クローン病
小腸、大腸を中心とする消化管に炎症や潰瘍を引き起こす慢性の炎症性腸疾患の一つ。腹痛、下痢、血便、体重減少などの症状が見られる。原因は解明されていないが、若年者に多く見られ、日本では食生活の欧米化によって患者数が増加傾向にあるとされる。治療は栄養療法や薬物療法などの内科治療が主体だが、腸閉塞や穿孔(せんこう)、膿瘍などの合併症には外科治療が必要となる。 厚生労働省の特定疾患に指定されており、申請すると医療費の補助が受けられる。
出典 朝日新聞出版知恵蔵miniについて 情報
クローン病
限局性回腸炎,終末回腸炎,限局性腸炎,限局性小腸結膜炎,回腸末端炎などともいう.非特異的慢性炎症性腸疾患で原因は不明.
出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報