グリュントゲンス(英語表記)Gustav Gründgens

改訂新版 世界大百科事典 「グリュントゲンス」の意味・わかりやすい解説

グリュントゲンス
Gustav Gründgens
生没年:1899-1963

西ドイツ俳優,演出家。ハンブルク室内劇場をへて1920年代末にベルリンで特異な性格俳優としてデビュー。ナチス時代にはゲーリング庇護を受けてプロイセン国立劇場総監督となり,演劇文化の水準の維持に努めたが,反面ナチス協力の責任を問題にされることもある。戦後デュッセルドルフ,ハンブルクで総監督となり,自らメフィストを演じた《ファウスト》では,劇のイリュージョンを放棄した,俳優を中心とする演出で一時期を画した。マニラで客死。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「グリュントゲンス」の意味・わかりやすい解説

グリュントゲンス
ぐりゅんとげんす
Gustaf Gründgens
(1899―1963)

ドイツの俳優。デュッセルドルフに生まれる。復員後俳優教育を受け、ハンブルク室内劇場で頭角を現し、演出も担当。1928年ベルリンに移り、犯罪者風の役柄として映画にも出演し、メフィストフェレス役で評価を確立したが、ナチス時代ゲーリングの庇護(ひご)を受けてベルリン国立劇場監督に異例の昇進を遂げた。義弟クラウス・マンのようにこれを弾劾する声もあるが、ナチスの手から迫害者を救い、芸術の水準を保ったことは評価されている。第二次世界大戦後は西ドイツのデュッセルドルフで、55年からはハンブルクのドイツ劇場の総監督となり、自らメフィストフェレスを演じた『ファウスト』の新演出は、簡素化舞台として画期的なものであった。旅行中マニラで客死。

岩淵達治

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android