グーグル税(読み)ぐーぐるぜい(その他表記)google tax

知恵蔵 「グーグル税」の解説

グーグル税

グーグルに代表される、国境を越えてネット・ビジネスを展開している企業の商取引に課す税。「グーグル税」は通称であり、アマゾンアップルなどの大手IT企業も含まれる。2013年12月、レッタ政権下のイタリア議会で可決された。条文では、こうした多国籍企業がネット広告などを掲載する場合、国内に税金を納めている事業者を通さなければならないと定めている。ただし、多国籍企業から直接徴収するわけではない。提携した国内事業者からの税確保を目的としており、イタリア政府は巨額の増収を見込んでいる。
こうした税はEU(欧州連合)加盟国に前例がなく、成立前からEUの各種法に抵触するという批判も出ていた。可決から数日後、イタリア政府は税導入を14年7月まで延期すると発表している。
多国籍企業の中には、非課税または税率のきわめて低いタックスヘイブン(租税回避地)と呼ばれる国に本社を置く、あるいはタックスヘイブンを含む複数の国に設立した子会社に売り上げを経由させるなどといった手法で、納税を合法的に回避している企業が多い。こうしたグーグルやアップルなどの節税スキームは、子会社の設立地等の名をとって、ダブルアイリッシュ&ダッチサンドイッチ(Double Irish With a Dutch Sandwich)などと呼ばれる。
イタリアでのグーグル税の成立は、「倫理」の欠如したこうした米・多国籍企業への批判が背景にある。13年10月に国内書店の保護を目的とする「反アマゾン法」を可決したフランスでも、導入が議論されている。

(大迫秀樹  フリー編集者 / 2014年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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