日本大百科全書(ニッポニカ) 「コウマ」の意味・わかりやすい解説
コウマ
こうま / 黄麻
[学] Corchorus
シナノキ科(APG分類:アオイ科)の一年草。オウマとも読み、ジュートjuteともいう。茎から繊維をとるために栽培され、ツナソ(綱麻)とタイワンツナソの2種がある。ツナソC. capsularis L.はインド原産でインドアサともいい、バングラデシュ、ブラジル、インドなどで栽培される。茎は高さ3、4メートル、先端近くで枝分れする。葉は先のとがった細長い卵形で長さ5~15センチメートル。葉腋(ようえき)に1個から数個の黄色の5弁花をつける。果実は径6ミリメートルほどの球状の蒴果(さくか)で、中に暗褐色の種子が40~50粒入っている。タイワンツナソC. olitorius L.は熱帯に広く分布し、シマツナソ、ナガミツナソともいう。ツナソに似るがやや大形である。果実は細長い円柱状を呈して先がとがり、長さ5~10センチメートルにもなる。繁殖は実生(みしょう)により、播種(はしゅ)後100~120日で刈り取る。葉を除いた茎を束にして水に浸(つ)け、腐らせて、たたいて繊維をとる。強度や耐久性、耐水性などの点で、繊維としてはあまり上質ではないが、安価に生産できるので、コーヒーや砂糖などの農産物を入れる袋に利用する。また、リノリウム板の下布としたり、ほかの繊維と混紡して用いる。
[星川清親 2020年4月17日]