コクレ文化(読み)コクレぶんか

改訂新版 世界大百科事典 「コクレ文化」の意味・わかりやすい解説

コクレ文化 (コクレぶんか)

パナマにおける先スペイン期の文化。西暦500年から900年の間に,アスエロ半島からプラヤ・デル・ベナドにかけて栄えた文化で,白地多彩文土器と豊富な金製品を特色とする。またこの文化の重要な遺跡であるコクレCoclé地方のシティオ・コンテには高さ約2mの石の列柱,土の塚,石槨墓などが発見されている。石柱の多くは人物あるいは神像が彫刻されている。この文化を有名にしているのは,その多彩な黄金製品である。打出し細工溶接合金鍛造,ロウ型法,酸を使った一種の鍍金技法などの諸技術を駆使して,人物,神像,動物などのモティーフで装飾された,耳飾,鼻飾,腕飾,ペンダント,冠,容器などがつくられた。石や骨製の彫像を金の薄片で包む技法や,エメラルド水晶をはめこんだ装身具などもみられる。この黄金文化は10世紀頃活動をやめる。その原因はメソアメリカの政治的変動と無関係ではなかった。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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